恋乱W

□色香
1ページ/2ページ








「ぁっ…!いっ…やぁ…っ!」



「…っ…嫌?ほんとに?」



名無しさんの最奥まで己を沈めて



その心地良さに永い溜息をついた




気を抜けば簡単に飲み込まれてしまいそうだ



何度肌を重ね合わせても




この瞬間だけは一時たりとも油断出来ない




ゆっくりと律動を始めて



次第に互いの身体を打ち付け合う音が部屋に響く




「んぁっ!さいっ…ぁんっ…!」



力なく俺の首に腕を回して


蕩けそうな嬌声を耳許で聞けば



自然と自分の腕がしなやかな細い腰に巻き付く




隙間なくピッタリと身体を合わせながらも止まらない律動





理性など、とうの昔にぶっ飛んでいて




今はただただ本能のままに動くだけ






「ひゃっ…ぁっ…ん!」




強引に紅い唇を塞いで



互いに呼吸の合った舌が絡みつく






「はっ…ぁ…ん…」








息が弾む







まだこうしていたいのに








どうして限界というものが存在するのだろう






この瞬間の





名無しさんとこうしていられる夜だけは明けなければいいのに




そんな馬鹿なことすら思ってしまう






救いようがないくらいに溺れている








「っ…!」






ドクドクと脈打ちながら



自身の全てを名無しさんに飲み込ませたあとで



尚も彼女を力強く掻き抱いた






それに応えるように名無しさんもまた俺の身体を優しく包み込む






細い指が俺の髪の毛を梳いて




引き寄せられるように柔らかな胸の上に頭を乗せた





どちらともない心臓の音が直接耳に響いて




この幸福な甘いひと時を、瞼を閉じながら噛み締める





無言な時間さえ愛おしい






このまま二人で泥のように眠ってしまいたい





ずっとこの香りに包まれながら…








そう思っていたのに













「才蔵さん…大好き…」













彼女の一言でまどろんでいた意識が一気に覚醒した





疲れを知らないのかムクムクと起き上がる己の欲望





(本当にどうしよもなく溺れちゃってんだよね…)






「…お前さん、煽るのが上手になったよね」












どうやら今日も朝まで寝かせてやれないらしいー…


































「先生ー!先生ー!」

「無駄だ佐助。どうせアイツは出てこない」










(うるさいな…)






いつもの場所で例の如く昼寝を決め込んでいた俺は

佐助と幸村の声に目を開けた





「どーせまた昼寝でもしているんだろう」


俺達には見つけられやしないと
幸村はヤレヤレといった表情で半ば諦めている


いつもならここで終わるはずだが、今日の佐助はどうやら違うらしい





(さて…どうするつもりなのかね)



高みの見物とばかりに二人の様子を伺う




すると佐助はひとしきり辺りを歩き回ったあと、すぐにパッと俺を見つけた







「先生みーーーっけ!!」

「なにっ!?お!本当だ!すごいぞ佐助!!何やら成長しているなっ!」




キャーキャー騒ぐ幸村達を後目に

俺は別の場所で寝るかとパッとその場から離れる





「あっ!ずるいぞ才蔵っ!」

「先生ーっ!待ってくださいー!!」

「悪いけど今日は稽古する気分じゃないから」

「今日はって…お前参加したことないだろー!!!」



そう叫ぶ幸村達を置いて


静かな場所へと移動したのだが…













「先生見つけた!」









「先生みーーーーっけ!!」










その後、何度も佐助に見つかってしまい


睡眠がとれない苛立たしさだけが募る






(全く…ゆっくり昼寝も出来やしない…)






佐助が成長したと言われればそれまでだが




あまりにも見つかるものだから、俺は佐助がどうやって俺を見つけているのか監視することにした



























*
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ