怪盗X

□大富豪の命令は…
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いつもの店黒狐ー…

久しぶりにBFのメンバー全員がたまたま揃ったことで、いつもより盛り上がりを見せている

が…最近は目立ったミッションもなく、平和な日々を過ごしていたためか、私以外のメンバーは刺激がなくて退屈しているらしい


「暇だね〜〜…」

「暇だね…」

ボスと宙君はさっきから同じ言葉を繰り返して、テーブルの上にコテンと頭を乗せた

「平和で何よりじゃねぇか」

「そう言うリキ君だって顔に退屈って書いてあるよ?」

「はははっ、それはそうかもな!柳瀬が一番暇そうだ!」

「皆、暇人だな」

「そう言うたっくんだって暇だからゲームしてるんでしょ?」

「はっ?ちげーし!ただの暇潰しだし!」

「ホラ、やっぱ暇なんじゃーん」

「ふふっ。拓斗さんって天然ですか?」

「う…うるせー!平和ボケしてんだよ!」

「何か刺激がないとつまんないね…」

退屈そうな皆を他所に私はレモンサワーをグイっと喉に流し込む

ゆっくりと飲んでいたつもりだけれど、そろそろ酔いが回ってきた…


飲み始めて既に3時間は経っている…

明日休みといっても、流石にそろそろ眠たいな…


帰ろうかと席を立とうとすると、宙君の明るい声が響き渡った


「そうだ!ゲームしよう!」

「ゲーム…?どうせ拓斗が勝つじゃねーか」

「違うよ!そのゲームじゃなくて、せっかく女の子がいるんだから…王様ゲームなんてどう?」

「王様ゲーム…?」

「あれ?たっくんもしかして知らない?」

「いい若いもんが王様ゲームを知らないだなんて…生ける化石だな…」

「バッ…バカじゃねーの!それぐらい知ってるし!」

「宙君〜〜でもさ、女の子は名無しさんちゃん一人だけなんだし、ハズレが多すぎないかい?」

「それもそうだな…」

「じゃあ、大貧民は?」

「トランプかー!懐かしいな!」

「大貧民は罰ゲームってことで、大富豪の命令に従うこと!」

「面白そうですね」

「よっしゃ!いっちょやるか大貧民!」


帰ろうとした筈が、トランプに誘われて再び腰を落ち着ける


そしてワイワイと賑やかな大貧民が始まったー…




















「誰だよコレ配ったの!」

「ボスだろ」

「僕もクズカードばっかりだー」

「私も…」

「ごめーん!ちゃんと混ぜたんだけどなあ…」


チラリと拓斗さんを盗み見ると、満足そうな笑みを浮かべている

あの表情から察するにきっといいカードが揃っているんだろう

柳瀬さんもまずまずといった様子だ


「ハートの3誰?」

「あ!私だ…ハイ!」

「わっ…ペアか…俺パス!」

「僕は5のペア!」

「うぅ〜〜俺もパス!」

(ボス…自分で配ったのに…)

「俺だな。ジャックのペア」

「…ふん。甘いな柳瀬…キング!」

勝ち誇ったように、隣に座る拓斗さんは柳瀬さんが出したジャックの上にキングを叩きつける

「わっ…ぱ…パスです」

「僕もー…ケンちゃんとボスもどうせパスでしょ?」

「うっ…宙君決めつけないでよね…パスだけど…」

「…もっと甘いな拓斗…」

柳瀬さんは余裕の笑みを浮かべながら、キングの上にエースのペアを投げた

「っ!…ぱ、ぱす…」


(何か可愛い…)


いつも自信満々で口が悪くて意地悪な拓斗さんも、今回ばかりは柳瀬さんに敵わないらしい

拓斗さんと柳瀬さんがバチバチと火花を散らす大貧民の火蓋が切って落とされたー…






















「上がり」

パサリとカードを投げてヒラヒラと手を振った大富豪はやっぱり柳瀬さん

「くっそー!ムカつく!俺も上がり!」

富豪は拓斗さん


「じゃあ、私は平民?」

「俺も平民だ!」

ギリギリ上がった平民の私と稲垣さん


「うっそー!何で僕が貧民なの!」

意外にも貧民になってしまった宙君


「俺なんて大貧民だよ…」

予想通り…?の大貧民はボス


大盛り上がりした第1回目の大貧民は柳瀬さんの勝利で幕を納めた


「んで、大富豪は何でも命令出来るんだよな?」

「うぅ…そうでございます大富豪様…」

「じゃあ……ボス、明日俺に昼飯奢りな!」

「えっ?ここで?」

「んなわけねーだろ。イタリアンがいいかな…」

「えぇー!?リキ君の方が稼いでるのにー…」

「うるせー、大富豪様の命令は絶対…だろ?」



(これは絶対に負けられないな…)


ボスが配るカードに念を送りながら第2回目の大貧民が始まったー…

































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