怪盗X

□野球拳
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「拓斗さん…もうやめませんか…?」

「ダメだし。お前が全部脱ぐまでやる」

「…けど…」

「いいから手ぇ出せよ。ホラ、じゃんけーん…」

「「ポイっ!!」」



私がグー、拓斗さんがパー


私の負けだった


残るは下着のみ

これを脱いでしまえば、上か下どちらかが裸になってしまう


「よっし!!やりっ!!」

「くっ…何で…!!」

「ほら早く脱げよ」

「………嫌です」

「あっお前ヒキョーだぞ!約束だろ!」

「………じゃあ電気消して下さい」

「……やだ」

「それなら脱ぎません」

「………なら俺が脱がしてやるよ」

「っ!きゃあ!」


バッと飛びかかる拓斗さんから逃げようと後ろを向いた瞬間、パチンとブラのホックを外された



「引っ掛かった」


ニヤリと意地悪な笑みを浮かべる拓斗さん

手でブラを押さえながらキッと睨み付ける


(野球拳なんてやるんじゃなかった…)







こうなったのは、つい先程まで見ていたTVのせいである












「アウト!セーフ!?よよいのよいっ!!」



二人並んでバラエティーを見ながら、コーヒーを啜る休日の夜

珍しくTVに見入っている拓斗さんがふとこんなことを漏らした


「このヤキューケンって何が面白いんだろーな…?」

「…さあ?私は女なのでわからないですが、世の中の男性は一枚一枚脱がしていくことに興奮するんじゃないですか?」

「…全っ然わかんねー…」


興味無さげにTVから目を逸らした拓斗さん

そこで拓斗さんを見ながら話していた私と目が合う


すると何か思いついたように急に拓斗さんの目がキラキラと光を放ったような気がした


「…?拓斗さん、どうしたんですか?」

「ヤキューケン…」

「え?」

「…俺らでやってみよーぜヤキューケン」

「…はぁ!?」


じりじりと距離をつめる拓斗さんから、少しずつ逃げるように後退する


「何逃げてんの」

「やっ…だって…何となく…」

「今更恥ずかしがることねーし。お前がジャンケンに負けなきゃいいだけの話だろ?それとも自信ねーのかよ?」

「っ!…わかりました…やりますよ!その代わり拓斗さんが負けたらちゃんと脱いで下さいよ!?」

「別にいーけど?」

「じゃあ普通のジャンケンでやりましょうか…じゃんけーん…」












それでこの様だ



下着だけになった私に対して、拓斗さんはパーカーを脱いだだけ


(何で…!?私こんなにジャンケン弱かった…!?)




「ほら早く上とれよ。負けたくせにズリーし」

「…何か…ズルしてません?拓斗さん」

「はぁっ!?お前っ…彼氏を疑う気かよ!?」

「だって何か私ばっかり負けるの変ですもん…」

「お前がよぇーだけだろ!オラ、さっさと取れ!」

「わっ…ちょっ…きゃあぁ!」



隙をつかれてブラを取り上げられ、とうとう上半身裸になってしまった私


下着は諦めて手で何とか胸を押さえる



「…何かエロい…」

「っ!元々そういう遊びですよ野球拳は!もうやめましょう?これでいいじゃないですか」

「いや、ここまできたら名無しさんをスッポンポンにするまでやる。じゃなきゃ男が廃るだろ」


変な理屈をこねる拓斗さん

どうやら諦める気はないらしい


私だってこれからずっと勝っていけばいい話なんだから…!

気合いを入れ、運命をかけたジャンケンを始める





「「じゃんけーん…ポイっ!!」」






私はパー、拓斗さんはチョキ







「嘘…負けた…?」

「おっし!ハイ、最後の一枚だぞ。早く脱げ」

ぐいぐいと下着を引っ張りながら脱がせようとする拓斗さん

逃げるため立ち上がろうとしたところで、足を捕まれベッドへと派手に突っ込んだ



「ムダ。諦めろ」

「いった…もう!危ないじゃないですか!」


そのままスルリと下着を下ろされ、とうとう生まれたままの姿にされてしまった私は、恥ずかしさの余り布団に潜り込む



「へへーん、これで見れませんよー」

「バカ。それで逃げたつもり?」



















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