恋乱LB U

□変わらぬ想い
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「すっ…すみません!才蔵さん朝に弱くて…」


「それはお前さんの方でしょ。俺は別に寝なくても平気だし」


「ハハハっ!流石は忍者君だね。噂通りだ」



笑いながらチラリと外に目線を向けた上杉に名無しさんも釣られる




「いやー昨夜は激しかったね」


「えっ!?そっ…そんな!聞こえて…っ!」


「雨のことだよ」

すかさず助け船を出すと、名無しさんは気が抜けたような、安心したような表情を見せた



「あ…雨…雨ですか…」


「結構な降り方だったのに…もしかして気付いてなかったのかい?」


「あ…いえ…ううん、はい…」


「どっちなのさ」


「…気付いてませんでした」



俺達のやり取りを、微笑みながら聞いていた上杉は急に切り替えたように、喋り出す



「さあ、私はもう行くよ。早く京へ行かなければなんでね」


「え?一緒に行かないんですか?」



不思議に思った名無しさんに目尻を下げ、頭を撫でる上杉



「ここから先は遠慮しておくよ。私も命が惜しいしね…名無しさんちゃんが幸せそうでよかった」


「?ありがとうございます…?」


「それと忍者君もね」


「…どーでもいいけど、早くその手どけてくんない?」



名無しさんの体を引き寄せて包み込むと、上杉は呆れたように溜め息をついて踵を返す



「では、またいつか。ご縁があったら会おう」


「謙信様!お元気で…」




こうして嵐のような朝は終わりを告げた










「本当に行ってしまわれましたね…」


ポツリとそう呟いた名無しさん


「寂しいわけ?」


意地悪く笑いかけると、ハッとして俺の顔を見ようと目線を上げる


大きな瞳を手で隠し、そのまま口付けを落とすと、抵抗という抵抗もせず俺に唇を預けた





糸を引きながらゆっくりと唇を離す







「じゃあ朝の続きしよっか」


「へ…?でも…京へ…」


「頭痛いんでしょ?もう一泊するから大丈夫」


「でもそんな…歩けないわけじゃ…」


「いいから。今日はゆっくり休みなよ…」




そのままシュルリと彼女の帯を解いて、一日中貪るように名無しさんを味わったー…









疲れ果て隣で眠る名無しさんの頭を撫でながら、幸せを噛み締める



甘く香る髪の毛に唇を押し当て、そっと抱き締めると、眠っている筈なのに体を俺に擦り寄せた




彼女の白い肌には、俺がつけた紅い印がたくさん残っていて改めて見ると、自分の余裕の無さに乾いた笑いを漏らす



「…ごめん…愛してるよ…」








二人きりの甘く幸せな夜は静かに更けていったー…































End


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