恋乱LB U
□カップルしりとり〜with幸村
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才蔵さんと激しいしりとりをした次の日
見事才蔵さんに完敗した私は今度は幸村様とやってみよう!と意気込み、幸村様の姿を探していた
(才蔵さんは幸村様とじゃ続かないって言ってたけど…)
正直、幸村様がどんなことを言うのか気になる…
才蔵さんと違って純粋な幸村様なら、盛り上がるに違いない!
奥手な幸村様が、どんなことを言う女性にドキッとするのか、素直に興味がある
すると庭で一人鍛練をする幸村様を見つけた
「幸村様!」
「お?名無しさんか」
じんわりと額に浮かぶ汗を拭きながら幸村様は笑顔で私に向き直る
「お疲れ様です。お茶でもお持ちしますね」
「あぁ、ありがとな!助かる」
汗をかいた幸村様のために冷たいお茶を入れ、二人で縁側に腰かけると、余程喉が渇いていたのかゴクゴクと喉を鳴らしながら一気にお茶を流し込む幸村様
「ぷはー!うまい!鍛練後の茶はやっぱり違うな!」
「ふふ。良かったです。毎日御苦労様です」
「そういや、才蔵は?」
「才蔵さんは、佐助君の稽古に付き合ってるみたいです」
「そうか」
(こういう時じゃなきゃ才蔵さんに邪魔されちゃうしね…)
「あ、あの!幸村様…」
「あれ、何してるの二人とも」
と言いかけたところで、信幸様が丁度通りがかった
「兄上!丁度さっき鍛練を終えて、名無しさんにうまいお茶を淹れてもらったところです!」
「そうか。じゃあ俺も頂こうかな」
「あ…すぐに用意します!」
急いで信幸様の分とちょっとした菓子を用意して、三人並んで縁側に腰かける
「ん、美味しい。この菓子もお茶とよく合う」
「ありがとうございます」
「兄上、名無しさんの作るどうなっつもなかなか美味ですよ!」
「へぇ、それは是非食べてみたいね」
「あ、でしたら今晩たくさん作りますので皆さんでどうぞ召し上がって下さい!」
「それはいいな!じゃあ俺も御屋形様から頂いた上等の酒を卸そう!」
「名無しさんさんも一緒に呑もうよ、たまにはいいでしょ?」
「えっ…でも…お邪魔していいんですか?」
「勿論。やはり華がなくては折角の上等な酒も味が落ちるからね」
「じゃあ是非お邪魔させてください!」
(ふふ♪美味しいどうなっつたくさん作ろっと!)
今晩の楽しみを前に私の頭は、しりとりのことなど、すっかり抜け落ちて三人で他愛ない話をしたあと、夕げの準備へと急いだー…
慌ただしい夕げを終えて再び炊事場に立った私は、鼻唄を歌いながらたくさんのどうなっつを揚げていた
すると耳慣れた声が後ろからかかる
「楽しそうだね」
「あ、才蔵さん」
才蔵さんはチラリと私の手元を見ると不思議そうな表情を浮かべた
「どうなっつ?」
「あ、はい!今晩幸村様達とちょっとした宴を開こうって話になって…幸村様のお好きなどうなっつを作ってました」
「へぇ…」
「才蔵さんもご一緒しませんか?幸村様が上等なお酒を…」
「酒…ね」
突然後ろからそっと抱き締められ、耳元に才蔵さんの吐息がかかる
急な展開に思わず心臓がドクンと跳ねた
「さっ…才蔵さん?」
「…俺も一緒に行こうかな」
「は…はい。一緒に行きましょう…?」
「うん」
(ちっ…近いんですけど…)
何も言わずに私の手元を見つめる才蔵さん
それからどうなっつを揚げ終えるまで、才蔵さんが私を離してくれることはなかった
「おう!待ってたぞ名無しさん!」
「お…お待たせしました…」
(何かどっと疲れた…)
「あ、やっぱり才蔵君も来たんだ」
「えぇ、お邪魔します」
私の背後に立つ才蔵さんに気付いた信幸さんが柔らかな表情を浮かべて、どうぞと手で促す
「そういえば話をしていた時、才蔵いなかったな!」
「話?」
「あぁ、昼に三人で茶を飲んでいる時に、名無しさんの作るどうなっつは美味だと兄上に話したらな…」
事の顛末を才蔵さんに説明する幸村様
才蔵さんは、へぇ…と興味無さげに返事をしたあと、私へと視線を流す
「さぁ、早く食べないと折角の美味しいお菓子が冷めてしまうね。乾杯しようか」
信幸さんの一声で、胚を高く上げながらささやかな宴が始まったー…
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