One More Time

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「あー着いたー」

「磯の香りが…ハッ!いそがねば!」

「カントクは?」

「いろいろ持ち込むものがあるから車だと。あと伊月だまれ」




今日から合宿。
ということでやってきました、海!




『海ーーー!!』

「翼、泳ぎに来たわけじゃないからな」

『分かってますけど、一応水着持ってきたんでいつでも泳ぐ準備はできてますよ!』

「…水着って」

「オマエなぁ…」




はぁ、と伊月先輩と日向先輩が盛大なため息をついた。
あれ、私はしゃぎすぎだった?




「いいじゃん!休憩の合間とかで海入ろうよ!オレも水着持ってきたし」




じゃーん、と海水パンツを見せびらかすコガ先輩。
どうやら私だけじゃなかったようだ。




『コガ先輩、入りましょ!!』

「おう!みんな入らないならオレと翼だけで遊んじゃうよ〜」

「コガ下心ミエミエ」

「ていうか、紺野はもうちょい警戒しろ」

『え?なにがですか?』

「翼さん、一応男団体の中にいるんですから気を付けないとだめです」

『んー?分かった!はぐれないように気を付けて遊べばいいのね!』

「いやちげーだろ」

「大丈夫だぞ黒子、火神。オレがちゃんと翼のこと見てるから心配するな」

「木吉、変態っぽいからヤメロ」





そんな他愛もない会話をしながら宿に到着。
…うん、とってもボロい。
すると、リコ先輩を乗せた車がちょうど着いたようだった。




「うん、時間ピッタリ。みんないるわね?」




車を運転してるのは誰だろ。
そう思ってちょっと覗いてみるとサングラスをかけた厳ついおじさん。




「おうガキ共せいぜいがんばれよー」

「「「あざーす」」」

「あ…けどな。
娘に手ェ出したら殺すぞ」

「「「はいっっ!!」」」




…リコ先輩のお父さんだったようだ。
とても怖いけど、娘のこと大事にしてるいいお父さんだなぁ。

お父さんが帰ったところで練習開始。
リコ先輩に着いていくと、砂浜になんとバスケコートが。
その目的は。





「選手一人ひとりの個人能力の向上よ」





個人技を主体としたチームにするわけじゃなく、あくまで束ねる力一つ一つを大きくすること。
誠凛というチーム一丸で勝つために。
リコ先輩はそう言って、大胆にも上着を脱ぎ、タンクトップ姿になった。





「さあ、始めるわよ(地獄の)合宿!!」





砂浜でのプレイ。
砂に動きを邪魔されてみんな思うように動けないようだ。
疲労はいつもの倍に感じると思う。
特に木吉先輩はブランクがある分つらそうに見える。

でもこの後体育館で練習したらきっと少し楽に感じるんだろうなぁ。



砂浜の練習が終わり、休憩を挟んでから体育館に移動。







キュ キュ



体育館にバッシュの音が鳴り響く。
みんなの動きが良いような気がする。
砂浜の練習から体育館での練習を繰り返したら確実に筋力アップと個人個人の質が上がる。




『リコ先輩、本当にすごいです』

「え?なにが?」

『だってこのメニューすごく考えられてるじゃないですか。みんなの向上のために作られてるのすごくわかります』

「…ふふ、そう言ってもらえると嬉しいわ。やるからには勝ちたいからね、みんなで」




みんなで勝つ。
それは当たり前のようで難しいんだ。
でも誠凛なら、それを確実なものにできると思う。
そうしてキセキに勝っていかないと、意味がない。
テツヤが目指しているのは、そういうことだと思うから。




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