完璧少女

□ヴァリアー発見
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不二視点

翌朝、僕は雨の降っている外に人影が見えたから外に出てみた。

その人影の正体は、幸村や仁王を騙している水野さんだった。

水野さんは傘もささずに濡れながら無言で花を見ていた。

だから、僕は声をかけた。

演技を辞めさせるために。

「何してるんだい?」

『君には関係ないだろ。』

まあ、関係無いけど、演技を辞めさせるために適当に答えた。

「……嫌、一応関係あるよ。一応この別荘で一緒に居るんだから。」

『意味わかんない。ま、良いか。…ねぇ、それを答えたら君は私に近寄らないでくれるかな?』

当たり前だろ。誰がタラシなんかに近寄るか。

「必要以上は近寄らないよ。」

『なら、良いか。私は後悔していたんだ。』

後悔?

「後悔?僕等に近寄った事?」

『違うよ。もっと強ければって思ってね。』

……彼女は雨に打たれながら哀しそうに…笑った。

「何で強くならなきゃいけないの?」

『大切な人を守るためには強くならなきゃでしょ?』

…彼女はそう言うと、空を見上げた。

「ふーん…まるで何か大切な人を亡くしたみたいじゃないか。」

『私は亡くしたよ。大事な大切なお父様とお母様を。私が守りきれなくてお父様とお母様は殺されてしまったよ。』

彼女は、哀しそうに…振り絞ったような声を出した。

『フフ、私は一般人の君が羨ましいよ。命を狙われない君…がね。』

彼女はそう言うとスタスタ歩いて僕の目の前から消えた。

……これを聞いて分かった。

彼女は、独立せざるおえないから独立しようとするのだと。

それと演技ではないと言うこと。

ハハッ、後で幸村と仁王に謝らなくちゃ…

彼女を悪く言った事について…ね。

僕が、哀しそうな…だけど、美しい天使に恋をしてしまった瞬間だった。
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