題名のない日々
□ハル麗らかにハナが咲き
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それは少し前のこと。
俺達はまだ一年で、だけど進級は目前だった二月も終わる頃。
俺は、卒業間近の三年生達の抜けた穴を埋めるようになり、次期エースと囁かれ始めるようになった。
…ファンクラブ―というか、応援団というか―が結成されるとか、されないとか…。
周りの期待にも、特に気負いもプレッシャーもなく俺は毎日を楽しんでいた。
「―ハル〜‥一緒に帰ろ?」
「―…部活は?」
放課後、愛想よく幼なじみを迎えに行くと、嫌なのか不思議がってるのか眉を寄せて一言で切り返してきた。
「今日はミーティングだけだから、もう終わり」
ハルが今日、クラスの用で少し遅い帰りになるのは聞いていた。
試しに来てみて正解。丁度終わっていたようで、パラパラと教室を出ていく同級生達。
ハルは変わらず少し不機嫌そうな表情のまま、俺を見る。
「…いいよ。どうせ帰り道一緒だし」
溜め息混じりにそう呟くと、ハルは途中だった帰り支度を進めた。
―言う程不機嫌なワケではないらしい。
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