題名のない日々
□round and round
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天気のいい、土曜の午後。
俺のベッドを背もたれにして、俺の読みかけの雑誌に目を通しながら、お気に入りの携帯音楽プレイヤーで音楽を楽しむ幼なじみ。
昼過ぎに部活を終え、自宅で一人過ごしているであろう相手を誘った。
ほぼ同じ量だったはずの課題を、一緒に始めた結果がコレだ。
…確かに、ハルの方が頭良いけど、そこまで大きな差はないと思うんだけどな…。
ノートと向き合いながら、素知らぬ顔のハルを盗み見る。
…涼しげな眼は、俺を映す気はないようだ。
ページを捲る指先に、昔ピアノを弾いてもらった記憶が蘇る。
初めて自分だけの為に奏でられた音色は、未だに曲名もあやふやだけど、しっかりと耳に残っている。
最初で最後の演奏―。
その後間もなく、ハルはピアノを辞めた。
理由は話さないままだが、ピアノが嫌になったワケではなさそうだ。
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