cocoro

□白い花2
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幸いにも、外へ通じる通路はすぐに見つかり、私はお邸の庭園へと足を進める。

お誕生日プレゼントなんて渡すほどの関係でもないが、何も用意しないのも申し訳なくて実はささやかな贈り物を持って来ていた。

でもあの華やかな空間に圧倒されてしまい、こんなものを本当に渡す勇気はとっくに失っていた。

持っていた小さなパーテイーバッグからそれを取出し、月明かりに照らされた花壇のはじっこに座り込んで小さくため息をついた。



(・・・・・・・・)




私が用意したのは、お城でお気に入りの場所に咲いていた小さな白い花の花束だった。



(・・・挨拶代わりに渡せたらいいかなと思っていたんだけど)



こんな小さな花束は貴族達からしたら滑稽にも程があるだろう。
つくづく、自分は田舎者だなと思い知る。


ふいに風に乗って賑やかな声がホールから流れてくる。
パーティーはまだしばらくは終わらないだろう。



「・・・はやくかえりたい」



思わずそうつぶやいた時、





「リン?」






急に後ろから声がした。

びっくりして振り返ると、




「・・・どうしたの、こんなところで」





正装したルイ様が、少し驚いたような表情で立っていた。


私は瞬時に冷静になって、自分の今いる場所を思い出す。


招待していただいた方のお邸の庭でしゃがみこんでため息ついて。

さっき私、なんて言った・・・?



-------『はやくかえりたい』



(こ、





こどもかーーーーーーーーーー!!!!!!)




自分で言っておいてなんだが、今さらながら超絶失礼な事を言った事に後悔するももう遅い。


(き、聞かれたかな・・・どうしよう)




「あ、あの・・・わたしっ」




顔が赤くなるのを感じながら勢いよく立ち上がるも、うまい言い訳が思いつかなかった。



(ど、どうしよう・・・ルイ様の顔が見れない・・・)





なおもわたわたしている私に対して、ルイ様の抑揚のない声が聞こえた。



「・・・今日は少し冷えるから、会場に戻ったほうがいい」



心配してくれているのだろうか。


気を遣わせてしまった事に、また申し訳ない気持ちが膨らむ。


「は、い。そうですね・・・ありがとうございます・・」





なにしてんだろう、私。





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