cocoro
□はじめまして
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「お待たせしてしまい申し訳ありません、ハワード卿。
リンも、急に留守を頼んでしまってすみませんでしたね。
助かりましたよ」
「いえ」
ジルが自分のデスクに着くと同時に、リンはジルの分の紅茶を置いた。
「どうぞ」
ジルはにこりと微笑む。
「ありがとうございます」
「・・・私はこれで、失礼致します。先程お渡しした書類は明日の朝取りに伺いますので」
「わかりました」
ぺこり、とルイにも一礼し、リンは部屋を出て行った。
ルイは閉じられた扉を見つめている。
「どうかなさいましたか?ハワード卿」
「・・・今の子、騎士団って言ってたけど・・・どういうこと?」
視線をジルに向け、持って来た復興支援のための書類の束をジルに手渡した。
ジルは書類を受け取りながら答えた。
「ああ、リンですね。ハワード卿はお会いするのは初めてでしたね」
「うん」
「あの子は・・・」
ジルは書類をぱらぱらとめくっていた指を止める。
「このキースで被災した、一人です」
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