iroiro
□誰よりも、ずっと【1】
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私とアランの想いが通じ合ってから季節が一つ変わった頃。
ちょっとした事件が起こった。
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「カレン、どうしたの?」
「・・・え?」
いつものようにダンスのレッスンをしていると、
考え事をしていた私にルイが問いかけて来た。
(いけない・・・集中しなくちゃ)
忙しい中時間を割いてレッスンに来てくれているルイに、
これでは失礼になってしまう。
「・・・ううん、何でもないの。ごめんね、ルイ・・・」
「俺はいいけど・・・悩み事?」
答えられずにいると、今日はもうやめにしよう、とルイが体を離した。
焦って弁明しようとする私にルイは苦笑する。
「怒ってるわけじゃないよ。カレン最近がんばってるから、今日はもうおしまい」
少し休憩しよう、と近くにいたメイドさんに紅茶を持って来てもらうように頼んでくれた。
ルイの気遣いを嬉しく思いながらも、やはり心は浮かばない。
ありがとう、と笑顔で言ったつもりだったけど、ルイの反応を見ると上手く笑えていないのかもしれない、と思った。
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