..xoxo..
□2 お願いだから…
1ページ/5ページ
私は制服のまま、黒塗りの高級車の後部席に乗って座った。
横にはアキラさんが、運転手がケイジさん、横にはショウさんが。
発車しようとしたときに、
呼ばれたような気がした。
私は振り向いた。
柚季が走って、私を呼んでいる。
私はアキラさんを見た。
「少しだけだぞ」
私はコクリと頷き、車を降りて、
柚季に近づいた。
柚季は泣きそうな顔をしながら、私を抱き締めた。
ごめん、ごめんと何度も謝った。
私は柚季をゆっくりと離して、
笑顔を見せた。
莎羅「………大丈夫だから」
柚季「これから、どこに行くの?会える?」
莎羅「わからない……けど、絶対に会えるから、泣かないで、」
柚季は私に封筒を差し出した。
柚季「私の全財産……使って……」
莎羅「柚季!使えないよ……貰えない……」
私は柚季に突き返した。
柚季は私の手を取り、封筒を握らせた。
柚季「いいから、貰って。私が後悔しそうだから……」
莎羅「じゃあ………借りるね」
柚季に精一杯の笑顔を見せて、私はまた車に乗った。
車が発車しても、柚季はその場に離れず、
車だけを見つめていた。
私は柚季に貰った封筒を必死に抱きしめた。
大事そうに………
.