夢小説
□新車でドライブ(真島)
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「カスミちゃ〜ん!!」
「吾朗さん!会いたかったです〜。」
「何や嬉し事言うてくれるやないけぇ〜!俺もカスミちゃんに会いとうてたまらんかたわ〜!」
いかにもウキウキしながら近付いてきた吾朗さんは、急にマンションの目の前で私に抱き着いてきた。いきなりの出来事に面食らってしまう。
「ひゃっ!は、恥ずかしいです…やめてくださいよ〜…。」
「カスミちゃんは俺のやでぇ〜!!」
マンション中響くような声で騒ぐ吾朗さん。よっぽど嬉しかったのであろう。しかし、ここのマンションには近くにある幼稚園に通う子どもたちが多く住んでおり、当然その家族も住んでいる。しかも噂好きの母親が多い為、どんな噂をされるか分からない。知らない人に言われるのならまだしも、近所の人にそれが原因で嫌がらせなどを受けたらたまったものではない。…もちろんそれでも吾朗さんを好きである気持ちは変わらないのだが…。
「カスミちゃん?どないしたん…?…嫌やったか…?」
吾朗さんが心配そうな顔で私の顔を覗き込んできた。
「ご、ごめんなさい…。ちょっとここのマンションの人、噂好きな人多くて…。」
「あー、そないな事やったか…。すまんなぁ、カスミちゃんの気も知らんで調子乗ってもうて…。」
てっきり気にするなとあしらわれてしまうのかと思っていたのだが、まさか気遣ってくれるとは…。嬉しさもあったが、少し申し訳ない気持ちにもなった。