探偵×生物災害

□06
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別々に行動を始めた私たち



その選択は、後にどう影響するのだろうか










村の探索を始めて少し経った頃



あれからアンデットたちを何体か倒しているが、大きな変化は見られず

辺りは静けさに包まれ、不気味な雰囲気を醸し出していた




私と赤井さんは時折異常がないかの確認をする程度の会話をしているが、

他には気配や音はない





そんな時、ずっと考えていたのだが、と前置きして赤井さんが聞いてきた



「アリシアはなぜこの村に来たのか…何か心当たりはないか?」


『…特に、これと言った明確なものはありません

ただ、この村の伝承を考えると、今回の彼女の行動は模倣しているとしか思えないんです』


「アレキサンドレア事件か」


『…村の女たちが狂い、男性たちを次々に惨殺したという悲劇

しかし我々は、男性たちが死んだのではなくアンデット化してしまったのでは、と考えています


血に狂った者たちを殺したなんて、きっと警察にとっては汚点でしょうし

隠ぺいするのもうなずけます…一応、一般人を殺したことになりますからね』


ラクーンシティの時のように破壊処置を取るには、ここは狭すぎますし

そういう伝承を流せば、人を寄せ付けない村になりますから


そう口にした私を一瞥しながら、彼は考えるしぐさをする


次いで出た言葉は、先ほどの質問とは打って変わって、私に関することだった



「…ラクーンシティの事件に随分と詳しいんだな」


『…私の上司が、その事件の生き残りなんです。だから、』


「お前も、だろう?」



確信をついたかのように言う赤井さんに、私は観念して口を開いた




『はい。…私も、その生き残りの一人です』


「やはりな…先ほどの自己紹介をしたときに思ったんだ

その手のスペシャリストだと言ったとき」



『…はは、そんなことも言ってましたね、私

当時私は15歳で、現在の上司であるレオン・S・ケネディさんに助けてもらって、町を脱出しました』



合衆国エージェントになった経緯など、赤井さんに聞かれるまま、私は話をした




そんな空気を一変させたのは、村の中心部にある教会に近づいた時だった




教会にはいくつものドアがある


正面玄関、裏口、東西にある小さな出入り口



そこにはもうすでに、プラーガに侵された村人たちが門番をしていて


入るにはそいつらを蹴散らさなければならない


しかも、教会の中からは不気味なうめき声も微かに聞こえてくる




「あそこまで厳重な警備なんだ…本拠はあの教会だろうな」



赤井さんの言うように、恐らく教会にアリシアはいる


しかしよく見ると出入り口には大きなくぼみがあった



『赤井さん、たぶんあの扉仕掛けを動かさないと開かないですね…』



そういった私に頷いた赤井さんは、まず外のやつらを片づけて考えよう、とライフルをおもむろに取りだし




500ヤードは離れている廃屋の屋根に上った



パァンッとライフルの音を聞き、双眼鏡で様子を見ながらひゅう、と口笛を吹く


そうして、赤井さんは短時間で教会の周りの村人を一掃し、出入り口に無事たどり着いた




『何かはめ込むんですね…エンブレムか何か、探さないと』


「この形のかけらを、先ほどあの廃屋の近くで拾った」


『あ、じゃあはめてみましょうか』



赤井さんが持っていたそのかけらをはめると、どこからか地響きのような音が聞こえた


どうやら、どこかの門が開いたようだ



…何年か前の大統領の娘の拉致事件の報告でも思ったけど、一村にここまで凝ったもの作るとは


苦笑を隠さないまま、残り3枚のかけらを探すため、音のした方向へ足を向けた














進む物語、深まる謎








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