探偵×生物災害
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アンデットと化した村人たちは、想像以上に少なく
片づけるのにあまり時間は掛からなかった
扉を閉めたことで出てくるな、という私の思いを察したのか、
彼らFBIの3人はあの家にとどまっているようだ
気配が完全に消えたことを確認して、屋内へと入る
入ったその家の空気は、なんとも言えないものが充満していた
『お待たせしました』
「…あなた、一体何者なの?」
訝しげに私を見る女性は、確かジョディと言っていたか
無理もない。この人たちにとっては、人間を次々に殺していった殺人者なのだ
苦笑しながら、自己紹介とここに来た経緯を話し始めた
『合衆国エージェントの、神代結と申します』
「合衆国エージェント?」
『はい、アメリカ大統領であるアダム・ベンフォードが統括している組織です』
アメリカのエージェントがなんでこの村に…とつぶやいたジョディさん
『…皆さん、T-ウイルスはご存知ですか?』
「聞いたことないわね…」
「私も知りませんね…」
「俺も、あまり知らない。だが、一度だけ事件に関わったと噂で聞いたことがある」
そうつぶやいた細身の男性にうなずき、私は説明を続けた
『…ラクーンシティの悲劇』
「ラクーンシティ、といえば…アンブレラという製薬会社が開発したウイルスで町が壊滅状態になり、政府が破壊処置を行ったっていう…?」
「そのウイルスがT-ウイルス、ということですか?」
はい、とキャメルと呼ばれていた男性に返事をする
『T-ウイルスと呼ばれる殺人ウイルスがラクーンシティに流れ出し
人々をゾンビ…アンデット化させ、死の町と変えてしまったものです
先ほど私たちを襲ってきた男性も、そのウイルスに感染していて…生きる屍と化していました』
噛まれたり、引っかかれてしまうと感染して、数時間で命を落とし
やつらと同じように生きた人間の肉を欲して徘徊してしまいます、と説明すると、ジョディさんは項垂れた
「だからあなたは私を押しのけて彼を射殺したのね…」
『…何分、説明の時間がなかったものですから』
「ありがとう」
誤解が解けたところで、本題に入る
『他にも様々なウイルスがあります…それを持ち出したのが、アリシア・ブラウンです』
「「!!」」
『あなた方の上官がきっと、私たちに伝えたんだと思います』
一応、その手のスペシャリストですから、と笑った私に細身の男性は目を細めた
「じゃああなたが追っているのは、私たちも追っている…アリシア・ブラウンなのね」
『…はい』