短いユメ(DB

□寒くても君がいるから…
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オレの彼女はとても甘えるのが苦手だ。
だから俺から構ってやらないと絶対に来ない。

いわゆるツンデレ?ってやつか?



それでも他のウザったらしくベタベタくっついてくるよりはいい。







そんなアルトは休みだというのにテーブルに座ってパソコンとにらめっこしながら仕事をしている。
ったく…休みだというのになんで仕事をするんだよ。









「楽しいか?」

『楽しくない』

「ならやめろよ」

『仕事だからそうはいかないんだよね〜』








話しかけてもパソコンから目は離さない。
見てくれないことにパソコンにちょっと嫉妬してしまう。

俺が、さみぃと呟くとそうだねって返してくれる。
返事をしてくれるのは嬉しい。これで無視されたら俺、倒れてるかもな。

そして、ずっとキーを打っているアルトの手に自分の手を重ねるとすっげぇ冷たかった。







「おい、死んでねぇか?」

『生きてるよ』

「冷たすぎるだろ」






アルトの手を取って両手で握る。
氷みてぇに冷てえ。

アルトの片手を掴んでても、もう片手で器用にパソコンに文字を打ってる。
女は器用だと聞くが、アルトは半端じゃない器用さだと思った。


ずっと触っててもアルトの視線は奪えない。
ちょっと悔しくてずるい方法を使う。


手を握ったまま冷たい指先にキスを落とす。
そうするとピクッと肩が揺れたのが見えた。
あと少し押してやればこちらを向く。

ずるいとわかっていながらもどうしても振り向かせたいからやる。

指先にキスを落としたままぱくっと指を口に含む。
そして舌で指の間を舐めてやると思った通りの反応。







『っ!?や、何して…っ!』

「ん……ちゅ、」






舐めたままアルトを見ると俺の方を見て顔を真っ赤にしている。

ほら、俺の方を向いた。






 
「やっと振り向いてくれたな」







そう言うと俺がムッとしている意味がわかったらしくまだほんの少し顔を赤らめながら優しく笑ってる。








『あははっ、ターレスらしくないね』

「悪いかよ」

『いやいや、可愛らしいところもあるんだね』

「可愛くねぇよ」







そう言ってアルトの使っていたノートパソコンを取り上げる。

少し驚いたアルトが俺を見上げる。
その隙に空いている片手でアルトを持ち上げる。
コイツ、ちゃんと飯食ってんのか?
片手で持ち上げているのにものすごく軽い。

コイツと付き合う前のうざったい女はすごく重かったのしか記憶にない。

今度からは無理矢理にでも食わせねぇとな…。



そう思いながらも少しだけジタバタと暴れるアルトをしっかり抱えてソファーに座る。

そして、俺の足の間に俺を座らせる。
パソコンは膝の上でも出来るだろ。







『何がしたいの』

「一人でいたら寒いだろ?」

『………別に』







またパソコンの作業に戻ってた。
後ろから抱きしめながら聞くとそんな返事が帰ってくるけどこの返事は嘘だろ。
多分俺と同じ事を思ったんだろ。

だって、俺が後ろから抱きしめてても何も言わないし、むしろ背を預けてくっついてるんだからな。








「……ツンデレだな」

『なにか言った?』

「な、何でもねぇよ!」







"寒くても君がいるから温かい"


お互いにそう思っていたことは誰も知らない。






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