黒白の姫(原作

□第38夜
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リンクが立ち上がり、ペラペラと喋り出した。


「クロス・マリアン元帥。あなたは4年前アクマ生成工場破壊任務通達されてすぐ教団本部から消息を絶ち以後現在まで一切の報告義務を放棄し今回日本江戸地区にてクロス部隊、ティエドール部隊が戦闘中に方舟内に潜入。


その後敵側にハートの可能性をつけられたリナリー・リーと他5名のエクソシストのちに適合者と判明する青年1名が崩壊を始めた同方舟内に拉致されカサイ・マラタがノアとして覚醒し戦闘。


元帥は生成工場の探索、その発見後彼らの戦闘に参加。

その場にいたエクソシストの2名元帥の弟子であるアレン・ウォーカー、カサイ・マラタに指示し、方舟を操縦させ崩壊を回避。これにより方舟及び生成工場を奪取した。


そしてそのまま独断で方舟を使用し日本から4年ぶりに本部へ帰還。

以上です」


『うっわぁ、よく息続くねぇ。噛まないのが凄いわ』


緊張感のかけらもない言葉が響く。


「…ゴホン、この椅子に座るのも4年ぶり。いやぁ、ご苦労様でしたマリアン元帥。ですが?正直こっちはヒヤヒヤでしたよ。あなたが突然姿を消されてしまって?身内を疑いたくはないですから、ね」


その言葉にクロスは穏やかに返す。


「敵の腹の中に潜り込まねばならない危険な任務でしたのでどこに潜んでるか分からない伯爵の手元を警戒しての行動です。元帥狙いでハート狩りを始められたのには少しヒヤッとしましたがね」


クロスの後ろに薔薇が見える気がする。

ルベリエはニコニコと聞いていたがいきなり目つきを鋭くした。


「任務が成功したから通る言い分ですな。本来なら厳重処罰ものだ」
『いいじゃん、拷問でも何でもしてもらわないとクロスの頭おかしいままだよ。酒飲みすぎて細胞やられてるって』
「お前は黙ってろ」


頭をグリグリされて痛い!
こいつ手加減しなかった!!


そこからルベリエは長々と話を進めた。
どうやら方舟は使うらしい。


「方舟を使用するのですか!!?」
「室長にはすぐその準備に入っていただきたい」
「我々エクソシストに方舟に乗れと…?」
「俺は構わん。戦地までの移動時間がケチれていいわ」
「7000年間敵の舟として使用されていた未知の代物です。よく調べてから使用を検討したほうが…」


バクは慌てて言う。


「そんな時間は無駄だ。これは大元帥と我ら教皇のお考えです」
「しかしですな、もしエクソシストに負担がかかったら…」
「あなたは誰のために意見しているのですか。我々はエクソシストを守るためにあるのではない。この戦争に勝つためにあるのです」


その言葉にバクは怒りで唇を噛みしめる。
だけど、なんとかコムイが落ち着かせる。


「それに、方舟のことは一番そこの彼女が知っていることでしょう」


ルベリエのそのセリフに一斉に視線がマラタに集まる。


『方舟は完全に私"達"の物。安全面は保証する』
「そう。ノアの彼女が言ってるから安全です」
「マラタはノアじゃない!!エクソシストだ!」
「ですが、ノアでもあります。それに……我々のことを知っていたそうで?」
『…あははっ、どこまで知ってんのかな?』


笑ったけど目は笑ってない。
睨みつけるその殺気に周りがゾクリとして静かになる。


「…異世界。貴方はそこで我々のことを知った。」
『全員は知らない』
「だがこれからのことも知っているはずだ」
『えぇ、ある一定からさわからないけどまだ先のことまで知っている』


他の支部の人は話についていけてない。


「その記憶を頼りにすれば我々は勝てる」
『間違いなく勝てる。相手の人数も能力も全て知っている。だけどルベリエが言ったように私はノアでもある。あちらの家族の情報は売れない』
「家族……ねぇ。0番目はよく愛されたようで?」
『えぇ、千年公にはお世話になった。だからこそ裏切れないけど私には私のやることがある。この先の、教団のために』
「それは我々がピンチになると聞きとっても?」
『そう。全てあなたのせいだルベリエ。そして言えないこともあるけど、新しいアクマの誕生。そしてこの教団は崩壊するとだけ伝えておこうか。ここにいる人の一部、そして他の探索部隊かなりの人数が死ぬよ?』


ざわざわと周りが騒ぐ。
そして、私が長官を呼び捨てにしてることにみんなもハラハラしてる。

 
『私はノア。でもエクソシストでもあるって言ったよね?私は…のために人を守りたい。
エクソシストを支えてくれるコムイさんやバク。科学班や命がけで守ってくれる探索部隊の為に何個か警告をします』
「警告……それ何かね」


ルベリエは疑いかける目で見てくる。


『オセアニア支部長、アンドリューさん。貴方は警戒してください。なにかをするときは一人で行動しないで。じゃないとノアに殺されてレベル3の大量のアクマとノアを教団に入れてしまう』
「ボクが…かい?」
『これは間違いないことだから死にたくなければ警戒をし続けて。誰かを引き連れて歩いたほうが身のためかもね。』


アンドリューは顔を青ざめて頷く。


『問題はその後……アクマの進化、レベル4が誕生。これにより更に教団が被害を負い、教団を捨てる羽目になる。そして、卵が破壊。肝心はそこ。何がなんでも"集めるな"』


この言葉にルベリエとリンク。そして北米支部長のレニーの顔つきが変わる。


『触るな。何もするな。それをやるせいでさらなる痛手を負い、かなりの被害を覆う。あ、でも新しいエクソシストは増えるよ』


詳しい内容は言えないけど流れなら言える。


『ヒントはここまで。あとは私が勝手に"物語"を変えさせて頂きます』
「なるほど…なるべく検討はしておこう」
『あと、コムイ。武器庫の装備を増やしておいて。あとなるべくなら神田たちのイノセンスを一刻でも早く直してくれないと…』
「わかった。マラタちゃんがそう言うなら武器庫の装備を増やしておいておこう。イノセンスは手の空いた人にやらせとくよ」


その言葉に満足して頷く。


「ここまで知っている貴女はもちろん教団の事も知っていて敵になれば相当厄介…。それにアレン・ウォーカーという人物にも注意が必要です」


ルベリエは言いたいことをズバズバという。14番目、0番目、奏者の資格。歌姫。

終いには私とアレンを異端尋問にかけると言い出した。


「ルベリエ長官!!それらのことについて我々は一切報告を受けてません!この場の発言は公正にして頂きたい」
「これは失礼。では今からご説明しましょう」
「いいえ。この審議の中断を求めます。説明は書面で」


コムイの発言にルベリエは睨みつける。


「好きに調べろルベリエ長官」


クロスが口を開く。


「何を言ってるんですかクロス元帥!!」
「ではそうさせて頂きましょう?マリアン元帥、あなたは当分教団にとどまり中央町から世話役を付けさせていただきます。アレン・ウォーカーとの会話は一切禁止。彼には監視をつけ24時間見張らさせて頂く」
『…』
「そしてマラタさんにはアレン・ウォーカーと同じ人に監視してもらいます。アレン・ウォーカーとは随分と仲の良い様なので…。それに貴女は縛られてるより自由のほうがお好きそうだ。勝つためにも100歩譲って自由にしましょう」
『え、いいの?』
「担当はハワード・リンク監査官」
「はっ、承知いたしましたルベリエ長官」
『よかったー、監視がリンクで。他の人が付いたらルベリエを殴るところだった』
「……貴女という人間は恐れがないんですかねぇ」
『恐れ?ありますよ。中央庁に対しては恐れを抱かないですけどね。鴉以外の人間は普通の地位があるだけの人。強いわけがないじゃない。それに教団に殺されかけた瞬間私は裏切りとみなしノア側につく』
「あなたのそれも裏切り行為ですな」
『…考えはたくさんあるけど行動に手間がかかる。とりあえず…異端尋問は受ける。監視もいい。じゃ、アンドリューさん気をつけてね』


用が済んだから勝手に会議室を出る。


そして、廊下で壁に背を預け、自分で手を握った。
あんな強気な事を言ったけど実際は普通に怖い。
何があるかわからないしもしかしたらレベル4の襲撃で死ぬ可能性もある。


先に言いたいことを行ってしまったほうが楽だから言ったが少し後悔した。


深く考えても、仕方ない。

アレンたちのところに戻ろう……



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