幸せと不幸

□第4話
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イノセンスで構えたら、ズルいと言われた。


「お互いサバイバルナイフで勝負しねぇ?」
『!』


革に入ったサバイバルナイフを投げられ、受け止める。
サバイバルナイフを取り出すと随分立派なもの。
しかも、ギザギザしてるところが大きいから擦ったら痛そう。


『なるほど……いいね、楽しそう』
「だろ?」
「二人共!こんなの絶対におかし…っ!!!」


ダンッ!!

グランスが懐から拳銃を取り出してリナリーの足元すれすれを撃った。
かなり正確だ。


「!」
『おーっと、拳銃の使用は禁止ね』
「ちっ、あのクソアマのせいで一つの策略が削れた」
『ズルはしないでよ。サバイバルナイフのみで殺ろう。他の武器とかを持ち込んだ場合…遠慮無くイノセンスの餌になってもらう』
「なるほど…なら、潔く…」


探索部隊の白いコートを脱ぎ捨てるグランス。
そして、ここの下は砂になってるから靴を脱ぎ始めた。
それをみて、同じにしようと思いヒールを脱ぐ。


「そのナミの団服は…」
『生憎、中は包帯だけだから勘弁してよ。こんなこと予想してなかったしイノセンス以外は持ってない』
「よし、じゃあ始めよう」


距離をとって、サバイバルナイフを構える。
周りの人も静かになり、見守る中先に仕掛けてきたのはグランス。

真っ先に心臓を狙って突っ走ってきたからそれを交わす。

サバイバルナイフを斜めに切り裂いてくるんじゃなくて、真っ直ぐ確実に突くように攻撃をしてくる。
だが、そこには隙がある。


『強くなったみたいだけどさ…』
「だろ?」
『隙があるよ』
「な、にっ!!?」


足を少し引っ掛けただけで、倒れるグランス。
グランスが前に重心とかをかけすぎて、足元を狙ってしまえばその勢いで倒れる。


『じゃ、まずは1本〜どこにしようかなぁ♪』


うつ伏せに倒れているから、すぐに背中を足で踏みつけ、起き上がれないようにする。
そして、肋骨らへんを狙い、サバイバルナイフを深く刺す。


「ぐっ…あぁっ」
『あー、痛い?そりゃあ痛いよね…もっと痛くしてあげる!』


サバイバルナイフを捻り、少し横に倒すと硬い感覚がナイフを伝ってわかる。
そして、そこに力を入れるとバキッという音がした。


「う、あっ……骨…折れたじゃねぇかよ」
『殺し合いしたいって言ったのはどっちよ。それに、サバイバルナイフを用意してたってことは痛みを味あわせて殺したかったんでしょ?』


ナイフを引き取ると、血が溢れてきて、砂の上を汚す。
ナイフをみてみると、ギザギザしてるところには肉片が少しついてた。既にあの綺麗なナイフは見れない。真っ赤に染まってるから。


「あ〜……立ち上がるの辛えな…」
『手を貸そうか?』
「……あぁ」


正面に立ち、左手を差し出すとそれを掴んでくる。
すると、いきなり強く掴まれ、腕が離せなくなった。

グランスはもう片方の手で私の掴んでた手を狙ってた。
だけど、その前にサバイバルナイフを構えると自らそのナイフに手を刺した。

それで手首が切り落ちる。
その衝動で血が飛び散り、顔にかかったり足にかかったりする。


『ほんと馬鹿だね…考えがまるわかり』
「オレは結構他の人と比べたら強いほうなんだけどな」
『そうね…そこのエクソシストのリナリーやアレンやラビより強いと思うよ?ユウには…苦戦して負けるね』
「ナミ相手だからオレがすぐ殺られるってわけだ」
『そーゆこと』


未だに倒れてるグランスの前にしゃがみ、ペチペチとサバイバルナイフで頬を叩く。
さっき、手首を切り落としたからサバイバルナイフ持ってないしまだ安全。


「ナミさん!!グランスさん!!おかしいわ、こんなの!」
「そうですよ!こ、殺し合いなんて…!!」
「ナミはエクソシストなんさ!!人間を殺す仕事じゃないさ!」
『だって……私は人の願望を叶えてあげてるだけなのに』
「叶えてあげるにしてもこれは酷いわ!人間じゃないわよ!!」
『えぇ、そうね……普通の人間ではない。だから代わりにさぁ……グランスと闘ってみたら?お前らの弱さがわかるよ』


立ち上がり、リナリーの前に行く。
そして、サバイバルナイフを目の前に突き刺す。


『怖いなら口出しすんな。出来ないならここから出てけよ』
「……や、やるわ…」
「「リナリー!!」」


サバイバルナイフを受け渡し、グランスを無理矢理でも立たせる。そして、サバイバルナイフを渡す。


「殺していい?」
『だめ。怪我させるのも禁止…ほんの少しのかすり傷ならまだ許すけど、血を流させたら……私との戦いは終わり。即死させてやる』
「お遊びって訳ね……」


リナリーとグランスを正面に立たせる。
グランスは肋骨が折れてるから構えが不安定だ。
片方の手首もないし…。


『リナリーはグランスを刺してもあり』
「そりゃそうだ」
『じゃ、始めー』


リナリーが気持ちを固め、グランスにナイフを向けて、刺しにかかるけど、グランスは余裕そうな顔で避ける。

そして、リナリーが思いっきりサバイバルナイフを振りかざすが、それも避けられ、後ろに移動していたグランスに首を狙われ、突きつけられていた。


『はい、終わり。リナリーは本番だとそこで死んでるからね』
「ちっ、こんな雑魚やるだけ無駄だ」
『遊びよ、遊び』
「オレが怪我しまくってんのに遊びか」
『次やりたい人いる?』
「オレがやるさ!」
『どう?』
「いいぜ…」
『じゃあ、リナリー。ラビに渡して』


サバイバルナイフを受け取り、ラビが正面に立った。
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