黒白の姫(原作

□第16夜
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城の中に入り、階段を上がると甘い香りが漂い、咄嗟にマラタとアレンは口と鼻を塞ぐ。
気づかなかったラビは寝てしまった。


「この甘い香りは確か…!?」
『っ!うひょあ!?』
「!? マラタ!!」


何かの糸に絡まれ吊るされる。
そして、アレンも糸に引っかかり吊るされてしまった。
目の前には巨大な花。


『ま、まさか…』


パカ……
パカパカパカパカパカパカパカ

あたりを見渡せばたくさんの巨大な花。その花はどんどん開いていく。
あの…口がありますよ?
そして花は襲ってくる。
慌ててイノセンスを発動しようとしたけど両手が糸に絡まれてて動くに動けないことがわかり青ざめてしまう。


『ちょ、ど、どうしよ!?発動できないー!!』


いや、寄生型だから出きるっちゃ出来るけど…手が塞がってるなら意味がない。


"実在化するか?"
『(まだバレたくない…)』
「マラタ!」


アレンがイノセンスで手のところを狙って自由にしてくれる。


『ありがとアレンー!!』
「それよりラビです!!」


ラビが未だに気づいていない。


「ラビ起きて!」
『ラビ!!起きないと喰われるよー!!』
「ほえ…?」
「こらそこの人間共ーー!!」


ラビが目を覚ましてエリアーデが来る。
その時、バキューンと言うような効果音が聞こえ、お見事ラビは目がハートになってる。


「どう?私の恋人になる?」
「マジ…!?」
「聞けぇ!!!」
「何すんさー…」
「何あんなのに興奮してんですか!!!」
『あんなのって…』


案の定エリアーデは怒っていた。
そのおかげで村人のフランツが食人花に喰われてしまう。
物凄いバキバキと音を立てながら噛み砕いて飲んでしまった花はいきなりペンタクルが浮き出る。
そして、確認する間もなく爆発した。
マラタはアレンたちとは違う方向に飛ばされてしまった。


『いったぁ〜…ここ、どこ?』


どうやら城の中らしいけど自分がどこにいるのかわからない。
不安だから死神ノ鎌(デススィクル)を発動させて歩きまわると誰かに会った。


『誰!?』
「女の…エクソシスト…」
『…さっきの…』


エリアーデだとわかり、イノセンスの発動を解く。


『ごめんね、貴女に危害を与えるつもりはないよ。エリアーデ』
「なぜ私の名前を…!?」
『それは内緒』


エリアーデも少し警戒心を解いてくれた。


「貴女、お名前は?」
『私はマラタ』
「!?、ノ…ノア様…!?」
『あ〜…違うよ…いや、そうなのかもしれないけど…』
「?」
『私はまだ…ノアじゃない』


エリアーデは驚く。
そして、私の手を掴むと書斎に案内され、何故かティータイムが始まってしまった。
紅茶を出され、好きなものだったから迷わずに飲む。


「その…マラタ様はなぜ…」
『大丈夫、呼び捨てていいよ』
「マラタはノアじゃないの?」
『ノアだって…前に言われた。でもまだ覚醒はしてないよ』


エリアーデは悲しそうな表情をする。


「なら…私のことも忘れてしまったの…」
『え?』
「マラタは…ノアだった頃は私のことを助けてくれたの。オモチャだと扱っていたノア様とは違う人だった」
『それで?』
「私に花の育て方を教えてくださったの。その花はとても綺麗な花。とても特殊でそこに行けばアクマの殺人衝動が抑えられたの」
『殺人衝動が…!?』
「えぇ。本当はアクマの私は入ってはいけない場所だったのだけれど、そこの花壇の鍵をくださっていつでも来ていいと言われたの。鍵を持ってればお世話をしに命令されただけだと思われるから」


エリアーデが懐かしそうに話す。
そして、エリアーデはなにかの鍵をくれた。


『これは…』
「花壇の鍵。返す時が来たわ」
『でも…!!』
「本来はマラタの物よ。マラタのノアはとても貴重な特別なものだから…壊さないようにね…?」
『エリアーデは…とても美しいよ…。恋をしてるんだよね?敵なのに好きになってしまった。でも…エリアーデの目はとても綺麗で楽しそうなのに……』
「大丈夫、私はもう覚悟はできているの。私は私を壊してくれる男が好きなのよ」


エリアーデはアクマと思えないほどの綺麗な笑みを浮かべる。
そして、いきなり眠くなってくる。


『エリアー…デ……ごめ…ん、ね……』
「……ホント、マラタはノアでも人間でも性格変わらないわね…」


エリアーデがこっちに近づいて私を抱きかかえるのを最後に眠りについてしまった。




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