幸せと不幸

□第2話
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私が戻った時には既にアクマとの戦いは終わっていた。
巨大な穴が開いていた場所に入るとユウが大怪我を負っていてアレンも力尽きて倒れていた。
そしてすぐ目の前には人形の姿。
ただ歌うだけの人形に戻っていた。


『……フェンド、アレンを治療して』
「しかし…」
『いい、フェンドを実体化させるから。アレンは病院に篭もる人じゃないし』
「…わかった」
「オレは?」
『スィクルはそこの探索部隊のトマを運んで』
「いいが…もう一人の男は…」
『私が運ぶ』


私の力、それはイノセンスを実体化させることができた。
これはノアの力も入っている…と思う。
ホントのコトを言っちゃえばノア化することがほぼ無いから能力がわからない。


『イノセンスの実在―Real(リアール)!』


そう唱えればイノセンスが身体から離れ、目の前に二人の男が現れる。
一人は高身長で細身の超美形イケメン。いつ見ても緑っぽいイメージ。名前はずっと言ってるようにフェンドで、扇ノ舞。

もう一人も高身長で細身の超美形イケメン。こっちは黒っぽいイメージがある。名前はスィクルで死神ノ鎌。


『フェンド、アレンが起きたら隠れなよ』
「はいよ〜」
『スィクル、行こう』
「あぁ」


私はユウを持ち上げて病院に向かった。
医者に見せるとユウは全治五ヶ月らしいけど服を捲ると治りかけていた。


『哀れだな…』
「ナミ…」


スィクルが悲しそうな顔をして名前を呼んでいたことに気づかなかった。
イノセンスは嫌い。でもスィクルとフェンドは別。
でもね、それよりももっと嫌いなのは教団。
あそこは仲間だとほざくから。
家族じゃなくて仲間。そんなのは要らない。必要ない。

私にはノアの家族さえいれば十分。
あそこは縛らないしみんな優しいから。


「ん……」
『スィクル』
「わかった」


目を合わせるとスィクルはイノセンスに戻り、首元のチョーカーに収まる。


「……ナミ?ここは…」
『病院。まだ怪我治ってないから明日まで休んでね』


そう言い放つとスタスタと病院を出た。
病院の匂いが苦手だから。

少し急いでアレンの元に向かうとまだ気を失っていた。


『どう?』
「イノセンスのリバウンドのせいだな…体がついていけなくて体力が消耗したんだろう。多分もうじき起きる」
『死なないだけマシか。よし、フェンド、戻っていいよ』
「おう」


フェンドもイノセンス戻り、扇子の武器に変わる。
それを受け止めて足のベルトに挟みこむ。
ユウの怪我やアレンの調子から行くと明日に出発は無理そうだ。
ララを止めようにもアレンが許してくれないはずだ。


『…めんどくさいなぁ…』


そう呟きながら寝ることにした。









「お願いだから…帰ってこいよ…」


「うん…大丈夫。お互いに生きて…また会おう」






ふと目が覚めるとそこはマテールだった。


『…早く…帰りたいな』


ミランに"時計"と言うと、ミランが何かをモグモグさせて、口を開けた。その中に手を突っ込むと時計が出てくる。


『……ん?…うそ…』


時計は間違いなく合っているはずだ。
だったら私はどこかの家の屋根で1日以上寝ていたことになる。
おかげで体中が痛い。
軽く体を動かしてからアレンのところに向かった。


「…ナミ。どこに行ってたんだ」
『…べつに…』


なぜかユウもいて驚いた。


「ナミは俺と任務だとよ」
『どこに』
「確か……ここから遠くない森に任務だ。イノセンスの可能性は少ないがアクマが沢山いるらしい」
『へぇ、なら今すぐ行こう』
「ナミ。まだララが…」
『あの人形、あと1分もしないうちに壊れるよ』
「…………え?」


アレンが驚いた顔をする。
アレンは聞いててわからないのかな。

ララの声が微妙に小さくなってきてるのと少しの音程のズレが生じてきてることに…。

そしてララは私が言った通り、数秒してから歌が止まった。



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