幸せと不幸

□第1話
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任務が終わったユウの手当をしている。


『うん、これでよし』
「別に大した傷じゃねぇのに」
『そう言う割には大きな傷が深々とついてることで』
「………ちっ」


包帯をしっかりと結び、団服を着させる。
終わったから部屋から出ようとすると門番の叫び声が聞こえた。


「こいつアウトォォオオ!!!」
『アクマ…?ユウ、行っちゃダ…メ…………ってもういないし…』


既にいなくなってて開いた窓を見るところによるとここから出て行ったんだろう。
ユウと同じように舌打ちをついて窓から飛び出る。
外に出ると神田が白い髪の少年に六幻を向けていた。
あの少年にくっついてるゴーレム…クロスのか……。ということはアイツはアレンか。


『めんどくさ……』


そう一言呟いて扇ノ舞を刀に変えてユウに上から斬りかかった。

カキィンーー!


「テメェ…なんのつもりだ」
『見てわからない?クロスのゴーレム連れてる』
「知らねぇよ」
『おい、そこの少年、紹介状とかは?』
「あぁ!あります!!コムイって人宛てに!」
『………アイツか』


教団のゴーレムからはコムイへの殺気が向けられてる……気がした。
クロスの紹介状が確認できたのか門が開く。
そこにリナリーが来た。


『ちっ…』
「…ほら、みんな入りなさい」


嫌な雰囲気を隠さずにそのまま中に入ってく。
教団内の案内はリナリーがやってくれるはずだから…と、ユウと共に歩き出す。
そうするとアレンに引き止められた。

案の定、アレンの挨拶はユウに無視された。
ユウがスタスタと歩いて行ってしまうから付いて行こうとするとまたもや引き止められた。


『なに』
「あの…どこか出会ったことあります?」
『あんの野郎………ない。』
「そうですか…?あ、あとこれ師匠からです」


アレンが懐からティムとほぼ同じゴーレムを取り出した。
色は銀色。機能はティムよりもある。


『……!ミラン!!』
〈ミィ〜!!〉


そのゴーレムを見てついつい嬉しくなってしまった。
このゴーレムの名前はミラン。
ずっと前にクロスに作ってもらってたけど機能の追加で預けたままだった。
ミランは私の胸元に飛び込んできたからそれを受け止めて撫でる。


『ミラン…元気だった?』
〈ミィ〜〉
『そっか、よかった』


言葉が通じ合うかのように話す。
その時のナミの表情は楽しそうで笑っていた。
それを見てリナリーはものすごく驚く。
それもそうだろう。
リナリーはナミのこんな表情を見たことがなかったんだから。
いつも自分に向けられる殺気。
それがなくなって笑顔で話し込んでるんだから。


「あの……」
『ん?』
「その師匠からの伝言で、"繋げ"らしいです」
『……めんどくさ』
「どういう意味ですか?」
『電話をしろということだよ…とりあえず届けてくれてありがとう。礼を言う』
「いえっ!そんな大したことしてませんから!」


リナリーは未だに唖然とし続ける。
そして、私は人目も気にしないでミランに話しかける。


『ミラン、クロスに繋いで』
〈ミッ!〉
《ガガッ……ナミか》
『そう』
「師匠!!?」
《ちっ、馬鹿弟子がいるのか》
『いいから要件は』
《あぁ、ミランを新しくした際に収納をつけた。あと……お前は死ぬなよ。命令だ》
『わかってる』
「死ぬって…」
『お前には関係ない、リナリー・リー』
《………とにかくうまくやれよ》
『アンタも死なずにね。死なれたら困る』
《……お前らは同じことを言うんだな……》
『……いいから、あと、記憶完全じゃないけど』
《馬鹿弟子が暴れるからだ》
『……はぁ、もう切る』
《あぁ、またな》


プツッ

クロスとの電話は切れた。
アレンは何がなんなのかわかっていなかった。
それを無視してティムを呼ぶ。
そして二人に聞こえないように話した。


『私の昔の映像は見せないで。わかった?』


そうするとティムはコクコクと頷く。
それに少し微笑んで軽く撫でてから部屋に戻ることにした。
二人をおいて歩くと奥にユウが待っていた。


『あら、珍しい』
「モヤシのこと知ってるのか」
『……ちょっとだけね。でも上には内緒』
「…危ないことはするなよ」
『わかってる』





アレンとリナリーは教団内を回っていた。


「アレンくんは…ナミのこと知ってるの?」
「…知りませんよ」
「でもクロス元帥のことは知っていたわね」
「懐かしい感じがするんです……リナリーは…ナミと仲が悪いんですか?」
「そうね…最初は仲が良かったわ。だけど…あるいっときからナミの態度が変わってしまったの。私もそのちょっと前の記憶が抜けていて…よくわからないのよ」
「そうですか…」


アレンはコムイのところに案内された。
そこからアレンの地獄が始まった。


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