黒白の姫(原作
□第1夜
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古びた教会の前に女性と男性の姿が見えた。
格好からして警察官らしい。
「モア!ほ、ほんとに入るのか!?」
男性の警察官が怯えながら聞いた。
男、チャールズはやめようと言ったが、女の警察官のモアはなんとしてでも入るらしい。
その押しに負けたのか、チャールズは渋々了承して吸い込まれるかのように扉の中に入っていった。
協会の中に入るとそこはもうボロボロだった。
「うわ、荒れ果ててるなぁ」
「こんな所にホントに人が泊まったりするのかしら」
そう会話をしているとチャールズが叫んだ。
モアが慌てて振り返るとチャールズの足に猫がいた。
「なんだ、猫よ」
「え?;」
猫だとわかって安心した瞬間、羽の音がした。
振り向くと大量のコウモリが二人に向かって飛んでいった。
2人は身を低くして通りすぎるのが待った。
コウモリが階段を登っていなくなった。
「はぁっ、はぁっ、だ、大丈夫かモア!?モア!?」
そこにモアの姿はなかった。
モアは大量のコウモリが来たときに誰かに連れてかれた。
そして一つの部屋に入ると勢いよく扉が閉まった。
そして、コウモリの中から少年が出てきた。
「捕まえた、今度こそ逃さないぞ」
「ゲホッ」
「!? え…に、人間!?」
どうして…と驚いてると少年の左手に手錠がかけられた。
しかも、警官ということに驚いた。
「何者だ!」
「ご、ごめんなさい!つい夢中で気づかなくて…」
「!」
「その、ただの…旅人です…」
手を上げて答えた。
そして、椅子に座らされロープで手錠と窓の枠に縛られた。
「僕は今朝この町に来たんですけどここの前を通りかかった時、ノラ猫に大事なモノを喰われちゃってずっと探しまわっていたんです」
「…………」
「ほ、本当です!師からの預かり物で失くすわけにはいかないんです!!」
「師?じゃあその人はどこにいる?」
「え…いや…それがインドで失踪して…」
「「………」」
二人の間の空気が悪くなったところで他の人の声が聞こえた。
『お姉さん〜、アレンの言うこと信じてあげてよ〜。師匠も悪いんですから。それに、私の大切なものも食べられちゃてるし』
「貴女は…!?」
ドアのところにもたれ掛かっている少女がいた。
黒髪で腰くらいまでの髪の長さがある。明らかに日本人だった。
縛られているアレンという子と同じくらいの年齢に見える。
『あれ、猫見つけたの?』
「あ、そうなんですよ!!」
『よかったぁ〜』
猫が見つかって安心した瞬間にチャールズの叫び声が聞こえた。
恐怖に怯えているような声。
その後に弾丸のようなドドドドという音が聞こえる。
『…AKUMA…』
「キミ達はここにいて!!」
モアは音が聞こえた方に走って行ってしまった。
下の階から聞こえ、確認したらチャールズが木に縛られて体の中心部が貫通した穴が開いていた。
そして、頬には星マーク。
「チャ…チャールズ」
そして、次第にチャールズの頬が星だらけになっていく。
その星で埋め尽くされて顔が真っ黒になった瞬間に体が砕け散った。
そして、ロープに引っかかった服だけが残った。
「そんな…まさか、噂は本当に…」
モアが近づいていく。
その時、苦しくなった。
「な…に?苦し……」
喉を抑えてしゃがみこんだ瞬間、後ろからハンカチで口を抑えられた。
『気をつけて、この死体の死臭(ガス)は有毒だから吸わないほうがいい』
「…アクマに殺されてる…」
その声を聞いてモアは気を失った。
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