幸せと不幸

□第6話
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部屋に戻った瞬間、壁を殴った。
壁には穴が開き、砕かれた破片は床に落ちた。


〔主…〕
『教団は私を逃がす気はないらしいな…』
〔逃げればいいのでは?〕
『無理だ。普通のエクソシストならともかく元帥となれば教団から追われる身となる……まぁ、そのうちなると思うんだけどねぇ』


悩んでも仕方ないとわかっているのに悩んでしまう。
いつまで私をここに縛り付ける気なの。

ピピッ

私のミュウが通知音を鳴らした。


『…繋いで』
《…ガッ…し……もしもし、ナミちゃん》
『…なんの用?コムイ』
《今すぐ科学班のところまで来てほしい》
『やだ』
《いいから来てね!!じゃないと面倒くさい任務押し付けるよ!》
『…はいはい、今行く』


つい数分前にコムイと会ったのになんでまた会わないと…!!

そう思いながらも重い足取りで科学班のところまで向かう。


『おい、コムイ…用件をさっさと……』
「だぁぁー!避けろナミー!!!」
『はっ?』


入って早々リーバーの叫び声が聞こえ、驚いて反応が遅れた。

何かの山は近くに迫っていて、思わず手でカバーをしようと構えるが、いつまで経っても痛みは来なかった。


「おいテメェら!何してんだよ!」
「あれ、帰ってきたのか神田」
『ゆ、ユウ…?』


目を開けてみると目の前にはユウが居て、私を守るように抱きついてきていた。
神田の方が身長が高いからすっぽりと入ってる。


「大丈夫か?」
『う、うん…ありがと』
「ごめんねナミ〜まさか書類が倒れるとは思わなくってさ〜」
『別に…ユウがいたから大丈夫』


それにしても書類を倒れるほど置くってどういう神経をしてるのだろうか。
まったく…ノアは気ままに過ごしてるのに(千年公を除いて)この教団は仕事詰めか。

ものすごい量の書類が散らばっているのを見て、屈んで書類を集める。


「えっ、ナミ?」
『なに…?』
「手伝ってくれるの?」
『…じゃあ手伝わない』


立ち上がろうとするとリーバーに手を引かれる。


「手伝えるなら手伝ってくれ!」
『その代わり今度一日の休みを貰うから』
「……任務にナミがつかないのはかなりの痛手だが…まぁいいだろ。室長に言っておく…」
『じゃ、よろしく』


書類を集めるのを手伝っていく。
どうせ部屋に戻っても暇だしね。

てか、いつの間にかユウがいなくなっていた。











そして、書類を集めること一時間…

まさかこんなに時間がかかるとは思わなかった。
書類がドミノ倒しになっていて、拾う量が増えたからだ。


『はい、これで全て』
「おう、サンキュー……ん?この書類…」
『ん?あぁ…年月と種類…国ごとの分類に分けたけどまずかった?』
「い、いや…完璧すぎて…」
『因みに、3日前の上から54番目のところ計算間違えてる』
「あっ…ホントだ!」


リーバーが即直しに行ってすぐ戻ってきた。
そして、肩を掴まれ、少し揺さぶられる。


「ナミ…!!良かったら手伝『むり』いや、お願いだ!」
『断る』
「じゃあたまにでもいいから!」
『暇なときなら…ね』


面倒くさそうに溜息をつきながら言うど、科学班のみんなから歓声が上がった。
「少しは楽になる」……と。

どんなけ仕事漬けになってんのさ。


こうして、やりたくもない仕事の手伝いをやることになった。



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