幸せと不幸
□第5話
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廊下に背中から流れてる血の痕を残しながら自室に戻った。
『っ、イノセンス……はつど…っ』
ベットに倒れ込みながらそう呟くと部屋の机に置かれてあったイノセンスが光り、人になってナミを支えた。
〔おいっ!大丈夫かよ!?〕
『無理……貧血気味』
〔ったく…無茶はするんじゃねぇよ〕
『ごめん…いつものよろしく』
〔わかってる。じっとしてろよ〕
もう使いえない団服を脱ぎ捨てて、ベットにうつ伏せになる。
そして、フェンドの手が背中に翳されるとそこのところが薄っすらと光を帯びる。
イノセンスの能力で傷の治療ができる。
ゆっくり直せば体力は削られることなく跡も残らなく綺麗に直せる。
放っといても良かったけど、跡が残るのは立場上避けたかった。
そして、襲ってくる眠気に逆らうことなく眠りについた。
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―――
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目が覚めると部屋は闇に包まれていた。
目が慣れてくるとすぐ近くにはフェンドがいて、椅子に座りながらまだ背中を治していた。
『まだ…治らないの?』
〔そう言われてもまだ3時間だぞ〕
『てことは…夜中の3、4時くらいか…』
〔結構傷深くて治すの苦労した…お前神経やられてただろ〕
『あー…やっぱり?』
数時間前に戦っていた時からあまり痛みを感じなかった。
アクマに切られた瞬間は痛かったが、その後からほとんど痛みを感じられなくなっていた。
血を流しすぎているし、生きている方が不思議なくらい…。
〔ん……もう終わったぞ〕
『ありがと』
立ち上がり、背中を触ると違和感もないすべすべした肌の感触がした。
軽く身体を伸ばしていると突然部屋に扉が現れた。
「ナミ!!」
『あれ、ティキ?』
ティキの声がしたから部屋の電気をつけると、ティキの姿が見えた。
そして、いきなり抱きしめられた。
『え、な、なに!?』
「背中の傷……大丈夫か?」
『え?あ、あぁ…大丈夫。治った』
ティキは背中をペタペタと触ってきた。
…変態。
そう思いながらも上の新しい服を羽織る。
その時、ティキは思い出したかのように喋り始めた。
「動物好きだよな?」
『大好きだよ?』
「なら、プレゼント」
ティキは扉の中に入ったかと思うとすぐに出てきて、銀色に輝く狼を連れてきた。
『はっ…!!?狼!?』
「いや、捨て狼でさ。ナミが好きそうだから持ってきた」
『いやいや、捨て猫みたいな言い方!狼だよ!?狼!』
驚きすぎたのか普段大声を上げないナミが声をあげる。
だけど、その狼は私に寄り添ってきた。
『…可愛い』
「おっかしいな…オレには懐かなかったんだけどな」
『この狼……使えるかも』
「俺の話無視?」
ティキをスルーして、頭の中で整理を始める。
『ティキ。このイノセンス壊して』
「……は?本気か?」
フェンドはいつの間にか武器に戻っていて、その扇子をティキに差し出だした。
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