群青の世界

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ここはグランドライン

海原に浮かぶ海賊船の甲板に男たちが集まっていた。
その男たちが集まる中心には大人の男の腰ほどの高さの大きな檻が置かれている。

その内には銀色の長い髪を床に流して座る小柄な少女が俯き座っていた。



「籠の鳥ってーのはコイツみてぇな奴の事を言うんだろうなァ?」

「そうですねぃ親びん」
「ノアって言いやしたか?」
「鳥ッてーなら歌うのか?」
「ここに来てから一度も鳴かねーな」



口々に男たちが言葉を発しようと籠の中の少女……ノアは何の反応も見せなかった。

少女は数刻前の敵船との戦闘の際檻ごと攫ってきたものだ。



「コイツはなァ歌う鳥じゃねぇ」

「そうなんですかい?」
「でも羽根も見当たりやせんぜ」


カツン、カツン、と海賊の親分が持つサーベルが檻に当てられ音が鳴る。

少女はその耳障りな音にも顔を上げることはなく身動き一つしない。


「コイツは青い鳥なんだよ」

「青い鳥ッて―と幸せを呼ぶ?」
「あ?夢をかなえるんじゃないのか」
「え、旨いんじゃ…」


がやがやとし出したクルーを見渡し親分が溜息を吐く。


「お前らほんとに馬鹿だなァ」

「「さーせん!」」

ふと、籠の中の少女が顔を上げた。
金色の瞳は遠い空を見つめる。

「お?なんかくるか?」

「「お宝????」」


少女が微笑んだ瞬間、

ドーーーーーン!!!!!!!

大砲の音が鳴り響いた。


「敵襲ーーーーーー!!!!」

「十字の方向に敵船!!!」

「旗は………麦わらだ!!!!!!!」




一気に船上は喧騒に包まれる。
そしてしばらくもしないうちに、戦闘は決着がついたのだった。
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