『あいつに近づくな』

 真剣なツラをしてヤツはオレにそう言った。一昨日、あの女の店に行ったのが気に入らなかったらしい。

それはいつも歩く道で、あの店の前を通る度にボーイとかいう男に声を掛けられる。
一昨日は二人にしつこく止められて、面倒くさくなったオレは渋々 中に入った。


「あら、高杉さん?」

奥に進むと、隣の席で接客中のヤツの女が声を掛けてきた。

そういえば、こんな店で働いてるとか風の噂で聞いた気もする。




「高杉さんもこうゆうお店に来ることがあるんですね」
「……好きで入ったわけじゃねェよ」

席に案内され、グラスにお酒を注ぐ手を見つめながら応えた。
ほんとですか、と訊ねる女の横顔に目を移せば 妙に色っぽかった。よく見ると睫毛が長くて鼻筋が高い。

ヤツが惚れるのも わかる気がした。

両手で差し出されたグラスを取ると 高杉は一気にそれを飲み干した。


2、3杯ほどの酒と、お妙の話を興味も無さそうに聞き、時間にして一時間ほど経ったところで 高杉は席を立った。


たったそれだけの話だった。
それをあの女から聞いたらしく銀時は朝早くからきやがった。
余裕のない様なツラして言いたい事いって帰ってったけど。

………だけど。


近づくな、と言われるほど近づきたくなる。
触るな、と言われるほど触りたくなる。
ヤツの女なら とくに構ってみたくなる。



そしたらヤツは
……どんな顔をするだろうか。




Fin


なんか…銀時を好きな高杉の話(笑)
銀さんの焼きもちに隠れて高杉の嫉妬話みたいになっちゃった(;´∀`)
あくまでも、銀妙前提ですけど!(笑)

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