月夜へ贈る戀の唄

□葉月の章
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「 隣町の安藤さんを覚えておるか?」


『 はい、私が生まれた時にお世話になったという助産師さんのお宅だったと記憶しています。』


「 その安藤さんの旦那さんが重い病を患ったと先日聞いてのう…。そこでウチの健康祈願の御守りを買いたいと言ってくれておるんじゃが、旦那さんはもちろん、安藤さんももう歳でこの町まで歩いて来るほど元気じゃない…そこでかるたにお使いを頼みたいのじゃが、構わんかのう?」


『 はい、私が行って参りましょう。』


「 そうかそうか、すまんのう…。ワシが行けたらいいんじゃが、今日の午後は憑き物の祓いを頼まれておってのう…悪いが頼んだぞ、かるたよ。」



画して私は今日の午後、祖母から地図を受け取り安藤さんのところへ御守りを届けることとなった。

案の定、涼太さんは連れて行ってくれとせがんでいたが、大輝さんとの掃除の続きが待ち受けている為にお留守番。

真太郎さんと征十郎さんと本日は外せない用があるとのことで付き添ってはもらえず、結局一人で隣町まで向かうこととなった。





 
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