月夜へ贈る戀の唄

□葉月の章
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『 さぁ、ご飯が出来ましたよ皆さん。真太郎さんのお陰で冷たいものが食べれますね。ありがとうございます、真太郎さん。』



私と征十郎さんは皆が待つ居間に移動するも食卓にザルに入ったそうめん、好みで加えられるように別にした具材達、そして手作りのめんつゆを配置すると真太郎さんの隣で一度手と足を止めてお礼をした。



緑「 別にこれぐらいどうということはない。礼など不要なのだよっ。」


高「 またまたぁ〜、真ちゃんったら照れちゃって〜。」


緑「 うるさいのだよ、高尾っ。」



このやり取りも今では見慣れた光景。

私は着物の袖口で口許を隠してクスリと笑った。



皆が食事を終えるのは育ち盛りの殿方である故にとても早く最後までゆっくりと食べていたのは私と祖母、そして征十郎さんだけだった。

大輝さんと涼太さんなんてもう「 いただきます 」の掛け声とほぼ同時に麺を取り合う始末。

それを見て征十郎が「 品がないぞ、お前達 」と怒るのも又、いつも通りの風景。



「 そうじゃ。かるたに頼みがあってのう。」


『 はい、何でしょう?』



食事を終え、片付けを施す私の手を止めたのは御決まりのわんころ二人ではなく、祖母。




 
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