月夜へ贈る戀の唄
□水無月の章
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『 すみません!通らせて下さい!すみません!』
私は人を掻き分けて人集りの中心へ向かった。
そして漸く辿り着いた先で私が目にしたのは二人の青年が殴り合い、ヘトヘトになった様子だった。
?「 そろそこ降参したら…ハァ……どうッスか?」
?「 うるせぇ!てめぇの方こそもうフラフラじゃねぇかよ…ハァハァ…。」
金髪と青髪の青年。
私はその二人を眼に移した瞬間、何か今まで感じたことのない温かいものを感じた。
赤「 かるた、感じたかい?」
『 征十郎さん。…これが共鳴なのでしょうか。』
赤「 あぁ、そうだ。俺はあの二人の名を知っている。それを教えてやろう…言霊縛りでこの騒動を止めてくれ。みっともない限りだ見ていられない。」
如何にも呆れた様子の征十郎さんは私に二人の名を教えてくれた。
『 黄瀬 涼太!青峰 大輝!命令です!直ちに争いを止め、私の前に来なさい!!』
言霊縛りは威厳を持って言葉を発しなければ効果を発しない。
又、命令ですと用しなければこれも無効化となる。
町の人々は大半が私のことを知っている。
そんな私が今までにない程の大声でこんなことを言えば注目を浴びるのも必然。
そして言霊縛りを受けた者は決してそれに逆らえない。
二人の青年は私の前に片膝を付く形で参上した。
黄「 言霊縛りッスか……。」
青「 くっそ…。」