月夜へ贈る戀の唄
□水無月の章
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「 やれやれー!」
「 ほらこそだ!今だ!」
実「 何やら騒がしいわね?」
町が賑やかなのはいつものことだが、今日の賑やかさは格別。
人集りが出来てるみたいだけど何処かで安売りでもしているのでしょうか。
「 あら、かるたちゃん。」
『 薫子さん。お体の調子は如何ですか?先月、お爺ちゃんからおめでたと伺いました。』
「 とても順調よ。お爺ちゃんから聞いたわよ?あの御守り、かるたちゃんからの贈り物なんですって?ありがとうね!」
『 いえいえ、薫子さんには元気な赤ちゃんを生んで頂きたいですから。ところでこの騒ぎは何なのでしょうか。』
「 あー、どうも男の子二人が喧嘩してるみたいなのよ…。」
赤「 男の子二人?」
「 えぇ、何やらお偉いさんとこの息子さんらしいんだけど…。」
『 私、止めてきます。』
「 ちょ、ちょっと!かるたちゃんっ!?」
この時、どうして私はあの人集りに割って入って喧嘩の仲裁をしに行ったのか今だに分からない。
だけどこれがお婆ちゃんの言っていた共鳴だったのだと思う。