月夜へ贈る戀の唄
□卯月の章
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ー 白椛神社 ー
「 白椛の婆さん!ウチの次男坊が憑かれちまったんだ!!何とかしてくれ!!」
婆「 …。」
「 おい、婆さん!聞いてんのか!一刻を争うんだ!早く来てくれ!」
婆「 …。」
「 …?……あ…白椛の姉さん。」
婆「 嫌じゃのう、姉さんなんて照れるじゃないかい!次男坊が憑かれたんだったかのう?行かねば成らん! 」
「( 言わせておいて…。)」
婆「 かるた、ワシはちょいと離れるが神社を頼むでの。」
『 はい、分かりました。お気を付けて行って来て下さいねお婆ちゃ……お姉ちゃん。』
私は掃き掃除の手を止めて祖母の背中を見送った。
そう、彼女は私の祖母。
歳は軽く50を越えている。
列記とした婆さんだ。
然し、先程のやり取りが良い例で、西洋の言葉を借りれば何ともユニークでファンキーなお婆ちゃんというわけである。
「 相変わらずだねぇ、白椛の婆さんは。」
『 いらしてたんですか?』
「 ちょいと前にの。」
このお爺ちゃんは定期的にこの神社へ来ては御守りを買って行ってくれる常連さん。