この想いが届くまで
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キーンコーンカーンコーン
朝から色々と疲れたが、なんとか午前の授業を無事終えることができた。
しかし力尽きた為、べたぁーっと机に伏せた。
「ふひぃ…お腹すいたっすー…」
待ちに待ったお昼休みがくるといつものようにタイミング良くお腹がぐーぐー鳴り出す。
「お、腹時計はいつも通りだな」
その音に笑いながらよっこいせと向かいの席に座る大翼。鞄からお弁当箱を2つ取り出し、1つを俺に差し出してきた。
「お返しはいらねぇから食えよ」
「っ大翼…ッ!すきっ!」
ぶっきらぼうな態度で言われたが、嬉しくてつい抱きつくと小さく呻き声をあげて大翼は鼻を摘んだ。
「…大翼?」
様子のおかしい大翼を不思議に思い、下からそっと覗いてみるとその顔は真っ赤で。
…まさか熱中症?インフルエンザ?
熱があるのでは、と心配になった為、腕を退けてはぴた、とおでことおでこをくっつけた。
「ッ!?!?」
大翼はその近さに目を見開き、顔を逸らしてぶはっと勢いよく鼻血を出してぶっ倒れた。
周りの生徒は「瀬谷がまた倒れたぞー!」と叫び、先生を呼び出した。
「あああ大翼ぃい!目を覚ましてぇえ!」
肩をつかみ、ぐわんぐわんと揺らしてみる。すると大翼はぐ、と親指をたてて幸せそうに微笑んだ。全くもって意味がわからない。