この想いが届くまで
□ぷろろーぐ
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会いたくて会いたくてたまらなかった彼に、強く抱きしめられた。自分より背が高く、体格も良いため包まれているように感じる。
―…愛してる、赤根
幸せな気持ちでいると、耳元でそっと囁かれた。熱い吐息が耳にかかって擽ったい。
俺も答えるように背中に腕をまわし、そして…
『お、俺も、あ、あい、あい……っ』
「そんなの言えないっすぅうぅうぅ!!」
そこで目が覚め、ガバァッと飛び起きた。
「ゆ、夢っすか…」
きょろきょろと辺りを見渡してから、熱くなってしまった頬を両手で覆う。
…しかし、あれは誰だったのだろうか。顔が思い出せない。
「……運命の人?
なんて、そんな馬鹿な話ないっすよねぇ〜!!いやぁ凄いリアルだったっす!」
嘘だと笑って呟くも、心臓がどきどきばくばく激しく動いて、止まらない。パジャマの胸元をきゅ、と握った。
「…また、会えるっすよね」
―…夢だというのに、また会える。俺はそんな気がしてならなかったのだった。