短編・番外編

□なんだかんだ言っても…
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「おーい、凪沙ー」

「?…あ、悠一会議終わったの?」

「うん」

今日は俺が会議の為に本部に行くし、どうせ暇なら一緒に行こうとなって二人で来ていた。どうやら、来るときに持ってたそばぼうろは食べ終わってしまったようだった。

「ぼんち揚げ食う?」

「んー…もらう。」

そう言って二人で並んで廊下を歩いていく。その時だった。

「よっ、お二人さん」

「凪沙も来ていたのか」

「こんにちは、風間さん」

待ち構えていたかのように前方に現れたのは、太刀川さんと風間さんの二人だった。そして、凪沙は太刀川さんをスルーして風間さんに挨拶をしていた。相変わらずだ。

「太刀川さん相変わらずの扱いだね」

「おーい、凪沙ー?俺にはー?」

「今日もいい天気ですね」

「まだ無視?!」

「そうだな、だがまだ寒いな」

「あ、風間さんぼんち揚げ食べます?」

三人で太刀川さんをスルーしながら会話をする。あ、太刀川さんがいじけはじめた。

すると、その様子を見た風間さんはさりげなく凪沙に言った。

「凪沙、太刀川がいじけていて面倒くさい。声をかけてやれ」

「はぁ…わかりましたよ」

そう言うと、太刀川さんの方に向かった凪沙。

「凪沙って、風間さんにはすごい素直ですよね」

「まあ、太刀川に関してはあれが通常運転なんだろ」

「ですよねー」

俺が風間さんとそんな会話をしていた時だった。

「凪沙ー!!」

太刀川さんが凪沙に飛びついていた。やばい、今なら太刀川さんを人生から緊急脱出させられるかも。

とか思ってたら、凪沙が太刀川さんを蹴り飛ばした。

「暑苦しいっ!!離れろ!!」

「ガフッ」

蹴り飛ばされた割には嬉しそうだな、太刀川さん。相手してもらえたのがそんなに嬉しかったのか。

相変わらずギャーギャー騒ぎながらもじゃれ合っている二人。というか、そうとしか見えない。

「なんだかんだで凪沙も太刀川さんの相手してるよなー」

「まあ、言ってもあいつらは共に同じ師に学んだ弟子同士だからな。兄妹のような感覚なんだろう。」

「ですねー。まあ、凪沙も本当に嫌いならそもそも関わろうとしないですもんねー」

「そうだな。ただ、一々巻き込まれるのはごめんだがな。」

「ハハハー(笑)」

そうこうしてるうちに、二人が俺と風間さんの方に来た。

「悠一、帰ろ」

「ん、そうだな」

「おー!今度のランク戦楽しみにしてるからなー」

「風間さん、さようなら」

「ああ。またな」

「太刀川さんまたねー」


何だかんだで凪沙は太刀川さんにも小さいが手を振り返す。

まあ、つまりアレだ。

この弟子コンビは何だかんだ騒ぎながらも仲が良いということだろう。

「あごひげ覚悟しておけよー」

「オマエもなー!」

ああ、次のランク戦は楽しみが増えたな。


そう思いながら、二人で並んで歩きながら帰った。

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