長編

□出会い
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「いやー…久々に帰ってきたぞー…」

茶色の髪を揺らし、水色の隊服をなびかせながら女は佇んでいた。

「皆いるのかなー…いや、いねーかぁ」

「そばぼうろ」を片手に玉狛支部を見上げる。
ーその時だった。

「お、案外早かったな」

「まぁねー…久しぶり、悠一」

「久しぶりだな、凪沙」

背後から、女ー凪沙と同様の隊服を着た男、迅悠一が声をかけた。

「で、その後ろの子達が例の?」

「ああ。そうだ。」

「ふーん。よろしくね。私は橙矢凪沙。玉狛所属ですー。」

ヒラヒラと手を振りながら凪沙は答える。

「あ。えっと、三雲修です」

「雨取千佳です。」

「空閑遊真だ。よろしく」

「とりあえず、中に入るか」

そうして、五人は中に入って行った。
ガチャリと音をたてて扉が開かれる。そして、扉の先にいたのは…

「「!?」」

「おっ、陽太郎。今だれかいる?」

「………しんいりか…‥」

「「新入りか」じゃなくて」

「おぶっ」

ビシッという音と共にチョップをする。

「久しぶり、陽太郎。ただいまー」

「む?凪沙か!かえってきたんだな!」

さっきまで、カピバラに乗っていた陽太郎は凪沙が顔をだすと、凪沙の方へとそそくさと寄って行った。

「迅さんおかえり〜…って、あ!凪沙さんも帰ってきたんだ!!おかえりなさい!」

「ただいまー」

二階から顔を出して迅と凪沙に挨拶をしたのはメガネを掛けた黒髪の少女だった。

「って、あれっ?え?何?もしかしてお客さん?」

そう言い、バタバタとしだす。

「やばい!お菓子ないかも! 待って待って! ちょっと待って!」

バタバタとしながら、中へと消えていく。

「相変わらずだねぇ〜」

思わずそう呟いてしまった凪沙だった。

それから、居間へと行きしばらく待っていた。

そして、出てきたのは小皿に乗せられたどら焼きだった。

「どらやきしかなかったけど…でもこのどらやきいいやつだから 食べて食べて。 アタシ宇佐美 栞、よろしくね!」

「これはこれはりっぱなものを…」

「いただきます」

三人が居間でこのようにもてなされて?いる頃、もう二人は別の部屋に向かっていた。

「ふぁ〜あ〜ねむ…」

「はは、本当に眠そうだな。俺の部屋くる?」

「はは、ご遠慮願うよ。」

軽口を叩きながら、二人が入っていったのは支部長室だった。

「「失礼します」」

「お、来たか!…久しぶりだな、凪沙」

「お久しぶりです、支部長。脱力系エリート橙矢凪沙、ただいま帰還しましたー」

軽く敬礼をしながらそう言う凪沙。

「お前も相変わらずだな(笑)」

「いえいえー。そちらこそ、お変わりないようで(笑)」

そう言いながらケラケラと笑う。

「それはそうと、迅。例の子らをつれてきたんだろ?」

「はい。」

「んじゃ、一応挨拶しときたいしな。ここに連れてきてくれるか?」

「わかりましたー」

「私はここで待ってまーす」

そして、迅が部屋を出た。
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