ロック×レヴィ

□ロックの場合。その六。
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ロックの場合E

「うーん…怪しい、よなぁ。」仕事で立ち寄った店の主人、ローワンからもらったワンシートの錠剤。「あんちゃん大変だろぉ?こんなんも扱ってっから試してみて良かったら今度は買いに来てくれなぁ。あんちゃんならオマケしちゃうぜ。」そう言って試供品だと、俺に渡してきた。「媚薬、ねぇ。」そんなものが本当にあるのか?単なるドラッグなんじゃないか?まあ何にしても使う機会もないな。そう思ってポケットの奥にしまい、すぐにその存在を忘れてしまった。さて、次はどこをまわるんだったかな。車に戻ってメモを取り出す。ああ、次はバラライカさんのところだ。さて、急ぐか。俺はキーを回してブーゲンビリア貿易、と掲げられたビルへ向かった。

それが数日前の事。俺はポケットに入れっぱなしの例の薬の事など綺麗さっぱり忘れていた。今日はレヴィとふたりで用事を済ませながら、デートをする。まあ、俺の中でデートをしてる事になってるだけでレヴィは仕事だと思ってるんだろう。気長に待つ事に決めた俺はそんな日々にももう慣れてきていた。

「あー、いってぇ、オイ、ロック!二日酔いの薬、あれいつも持ってるよな。ちょっとくれよ。」事務所に入って開口一番、レヴィはそう言った。「そんなにいつも持ってるわけじゃないんだけど、あるかな。」ポケットの中を探って二日酔いの薬とローワンから貰った薬の両方が出てきた。あー、こんなの持ってたっけ。俺がそう思って眺めていると「なにボーッとしてんだよ。貰うぜ。」レヴィが薬をヒョイと取って二錠、止める間もなく飲んでしまった。レヴィ…違う…そっちじゃない…。「あ?なんだよロック。今にも死にそうな顔だぜ。」残りの薬を俺に投げてよこすとソファに寝転がった。い、言うべき、だろうか。いや、プラセボとか、単なる偽薬かも。でも危ないドラッグだったら…うーん…ど、どうすりゃいいんだ⁉︎「で?今日の仕事は?」レヴィがだるそうにそう言った。「あ、えっと、飛び入りの仕事が無ければ今日は大した仕事はないよ。荷物の発注と受け取り、それだけだ。レヴィ、その、体調が悪いなら、俺一人で行ってくるけど…」「んな事できっかよ。どっちも金がかかってんだ。お前一人に任せて巻き上げられでもしたらたまんねぇよ。第一、ダッチにふたりで行けって言われてんだ。仕事だロック。この程度の二日酔い、大した事ねぇよ。ちっと休んでから行こうぜロック。」なんとも、なさそうだな。良かった。俺はホッとしてレヴィに話しかける。「そうか、わかった。アイスコーヒーあるけどたまには飲むか?」そう聞くと「あー、じゃあくれ。」とソファに寝転がったまま答えた。

事務所を出てから3時間ほど、二日酔いはおさまったが、なんだ?妙な感覚がしやがる。「さて、仕事はおしまいだ。どうする?飯食ってちょっとブラブラしないか?」コイツ、相変わらず懲りねぇなぁ。あの日からずっと、この調子だ。今まで通りで今まで通りじゃねぇ。ったく面倒な野郎だ。そう思った時、胸の奥がズクッと変に痛んだ。なんだ?気持ち悪りぃ。「レヴィ?どうした?もしかして具合が悪いのか?」大袈裟に心配してロックがアタシの顔を覗き込む。まただ。ロックの心配そうな顔、その目。それを見た瞬間、あの痛みが走る。なんだこれ?「いや、なんでもねぇよ。飯か、まあ、せっかく出てきたんだからなぁ。どっかで食おうぜロック。」気にするのをやめ、そう言った。仕事が終わったらさっさと帰る、そう言った時のロックの、諦め混じりの仕方ないな、というあの顔が見たくなかった。今日は帰った方がいい気はする。アイツにあんな顔をさせたくねぇと思うだけで、いてぇ。動悸もするし、熱っぽい。こりゃ二日酔いじゃなくて風邪でもひいたのか?だが今の発言を取り消してやっぱり帰ると言えば、きっとロックは、またあの顔をするんだ。ずくん、胸の痛みが増していく。なんなんだこれ。ロックと並んで歩きながら気持ちと身体のおかしさに耐えていた。「ここなんだけど、なかなか安くて美味いんだ。どうかな?レヴィ。」「ああ、入ろうぜロック。」アタシは最小限の動きと言葉でロックに接する。なんだこれ?おかしい。ロックの顔が見られねぇ。ロックの声が耳に響く。気持ち悪りぃ。いや、気持ちいいのか?これは。やべぇな。欲求不満かよ。アタシはククッと笑った。「なんだい?なにかおかしいか?」ロックが不思議そうに声をかけてくる。「いーや、別に。お前はなんにもおかしかねぇさ。」おかしいのはアタシの方だ。飯の味なんざ何もわからなかった。ただロックの姿と声だけがアタシの中で反響する。「…なあ、ロック…」「うん?なんだレヴィ?」「お前の声は、甘いな…」頭がクラクラして訳のわからないことを言った。「え?えーと、それは、どういう意味だ?」「いや…なんでもねぇ、忘れてくれ。」うまくものが考えられねぇ。ロックがいる、それしかわからねぇ。いつの間にかロックとふたり路地を歩いていた。店をどうやって出たのかも、今まで何を話していたのかもわからねぇ。駄目だ、限界だ。「レヴィ?オイ!レヴィ⁉︎大丈夫か⁉︎レヴィ!」壁にもたれてずり下がって行くアタシにロックが駆け寄って身体を支えた。「…っ!んぁっ…さ、さわんな…っ!」アタシの声と言葉に驚いたロックが手を離す。アタシは壁にもたれて座り込んだ。「…いいか?さわんな。あと、喋んな…もうたくさんだ…テメェでいっぱいでおかしくなる…っく…ぅあ…なんなんだチクショウ…。」アタシがそう言うとロックはハッとしてそれからすまなさそうにアタシの前にひざまづいた。「ごめん…レヴィ。俺のせいだ。その…さっきの、薬、アレ、違ったんだ…二日酔いの薬じゃない…レヴィの、その様子も、多分、あの薬のせいだ…。ごめんレヴィ。言えなくて…その、軽蔑されると思ったんだ。そんなもの持ってるなんて…。」何を言ってんだかよくわからねぇが、つまりアレか?あの薬のせいってことか?「…っは、なんだよ、惚れ薬でもあるってのか?魔女かテメェは。んな訳あるか。お前だけに反応するなんざ、そんな都合のいいヤクがあってたまっかよ…」駄目だ、ロックが側にいるだけで声を聞くだけで身体が疼く。「…ロック、先に帰ってくれ。」「馬鹿言うな!こんな状態のお前をひとりで置いていけるわけないだろ?」「お前がいなけりゃ問題ねぇ。」「そんな訳あるか。とにかくあの薬のせいなんだ。薬がぬけるまで、どこかで休まないと。車まで歩けるかレヴィ?」アタシは頭を振る。「無理だな。お前がアタシを支えて歩くってのもナシだ。喘ぎながら街を歩く趣味はねぇ。クッソ。もういい。そこ、そこまで連れてけ。」アタシはすぐ近くにあった安宿を顎でさした。ロックは一瞬まどい、アタシを抱きかかえた。「ぅっ…てめ、ざけんなよ、こんな運び方…」「今だけ我慢してくれ。これが一番早い。」そう言ったロックの声と抱きかかえられている事で、もう何も言えなくなった。変な声をこらえるので精一杯だコンチクショウ。

やっぱりあの時言うべきだった。俺は後悔して自分の卑怯さを罵った。赤い顔をして荒い息をこらえるレヴィをお姫様抱っこで運び、部屋のベッドに寝かせて水を飲ませた。「もういい、ここならいいだろ…先、帰れ…。」レヴィはベッドで小さく身体を縮めてそう言った。「そういう、わけにはいかないよ…。」こんな状態でいくらモーテルの中とはいえひとりで置いてなどいけるわけがない。「…ロック、何度も言わせんな。テメェがいなけりゃ問題ねぇんだ。テメェさえいなけりゃこんなんヤクが切れるまでいくらでも耐えられる。」そう言った。その声も苦しさをこらえているのがありありとわかった。それにアレは媚薬やそう言った類の薬であって惚れ薬なんてもんじゃない。「俺だけに反応するってのは俺が一番近くに居たせいだよ。そういう薬じゃない、はずだ。だから置いていけない。俺のせいだ。ごめんレヴィ。治ったら許してくれるまでなんでもする。本当に、ごめんレヴィ…。」

ゴチャゴチャうるせぇ野郎だな。あーもう!鈍すぎんだよ!!テメェがいたらマスターべションも出来ねぇだろうが!!クッソ、こんな野郎の何が良いんだ。側にいる、心配している、本気ですまないと思ってる、アタシを本気で想ってる…やめろ。だからテメェがいる方がヤベェんだよ。「…ぅあ…っ…も、しゃ、喋んな…。あのな、ロック。テメェの前でオナニーするのはごめんだって言ってんだよ。わかんねぇか?」アタシは笑ってロックを横目で見て言った。ずくん、顔を見ると痛んで疼く。ロックは驚いて赤い顔をする。本当に鈍い野郎だな。「…っ⁉︎んんっ⁉︎」ロックのその顔をみて身体が余計におかしくなった。「レヴィ⁉︎」やめろ、呼ぶな。ロック、やめてくれ。アタシの名前を呼ばないでくれ。「レヴィ…ごめん、俺は、最低だ。」ふっと背中から抱き締められた。ゾゾゾっと快感が走りアタシは声を上げる。「…っうあぁっ…うっくぅ…っ!あっ…んっ…クッソ…なん、の、つもりだ…。」「ごめんレヴィ。本当にごめん。少しだけ、楽にするだけだから。それ以上、しないから。」そう抱き締めたまま耳元で囁く。馬鹿野郎っ!!!

「…ぁっひっあっ…ば…っうあっ…!ロック…っ!やめ…あっはぁっ…あっあぁぅっ…!」

レヴィを抱き締めて、これが最後かもしれないと、覚悟した。殺されても文句は言えない。苦しそうだから、楽にしたい、それは嘘じゃない。不思議と抱いてしまいたいとは思わなかった。ただ、俺にだけ反応すると言って苦しむレヴィを少しでも早く楽にしたかった。置いてなどいけない。俺がいないのが最善策なのかもしれないと思ったが、置き去りになんか出来るわけがない。耳元でレヴィを呼んで好きだと言った。「やっ…っひっあっ…やめ、ろっ…ひあぁっ…!」繰り返しそう言うたびにレヴィの身体は震え声を上げた。抱き締めていた腕を緩め胸に触れる。張り裂けそうな感じがするのは気のせいかな。そっと撫で下から上に揉みしだいた。レヴィの声がいっそう甘くなり、こらえるような声から理性が消えていくのがわかった。そのまま我慢しないでくれ。苦しまないでくれ。そう願いながら耳元で、レヴィ、ごめん、好きだよ。と囁いて胸を揉みながらその先をクッと指の間にはさんでいじった。「ひあぁっ…!あっ!あぁぅっ!いっ…やぁっ…!ぁんっ…あぁっ!」「ごめんレヴィ。大好きだよ。薬のせいだから。俺が全部悪いから。だからせめて気持ち良くなってくれ。本当にごめんレヴィ。大好きだよ。」「やぁっ…!しゃべ…んっなっ…あっあっあっ!あぁっ…ばっか…ひあっ⁉︎やあっ!やめ!ばっ…ひあぁっ!!」ベルトを外してショートパンツの中に手を入れるとレヴィは大きく跳ねて言葉に出来なくなった。薬のせいでひどく濡れたそこを触って本当に申し訳なくて死にたくなった。それでも嬉しくて死にたくなった。早くイかせてやれば楽になれるだろうか。そう思って指を滑らせたっぷりと指を濡らしてから入り口をいじって外側の突起を濡らした指で軽くはさんでやる。それからそのさらに先を指の腹でさする。「ひぃっ!あっ!うっああぁっ…ひあぁっ…ひあっ⁉︎あっ…あっ…あああっ…!!」ビクビク震えて声を上げる。今のでイけただろうか。もう少しした方がいいのかな。「レヴィごめん。指だけだから。それ以上はしないから。」そう言ってからレヴィの中にゆっくり指を差し入れた。

やめろ!もういい!つーか最初からしなくていい!!むしろするならヤれよ!!!馬鹿野郎!!!アタシだけ、アタシだけがこんな…クッソ!馬鹿野郎!!!死ね!!てか殺す!!!三回殺す!!!名前を呼ぶな、好きだと言うな、謝るな、喋んな、触んな、どっかいけ。全部、全部言葉にならねぇ。やめろ、もうやめてくれ、死んじまう。わからなくなる。どうやって身を守っていたか、わからなく、なった。

「あぁぅっ…!ロック…!も、ヤれよ…ひあぁっ!な、生殺しだ…あっあぁぅっ!!」中をこするとまたビクビクと身体を震わせてレヴィはそう言った。生殺し。俺は余計に酷いことをしてしまっているのか。本当に最低だな。「ごめんレヴィ。でもそれは出来ない。ちゃんと、抱きたいんだ。」「ひうっ!こっのっ…勝手なんだよテメェ…ひあぁっ!あっあぁっ!うっ…ひあぁっ!!」本当に勝手だ。今そう言っておきながらレヴィの言葉に甘えて理性が効かなくなりそうになった。「ロックっ!あぁっ!もっダメっだっ…!やあっ!ロック!ロッ…クっ…あぁっ!やあああっ…!!」俺を呼ぶレヴィの声に理性が吹き飛んだ瞬間、レヴィは意識を失った。それを見て俺も腰が抜けるような感覚におちいる。危なかった。今のは危なかった。このまま薬がぬけるまでレヴィが目を覚まさない事を願って、レヴィの服装をととのえ、シーツをかけた。ソファにグッタリと座りグルグル回る頭の中でレヴィの姿が反芻されて、どうにもならなくなり、ひとり、シャワーを浴びながら、それを処理した。あまりにも最低でしばらくは立ち直れそうにない。

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