マフィアの女。

□マフィアの女。その七。
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FMr.チャンと会った次の日はいつも昼過ぎまでほとんど動けない。あの男は鬼だ。鬼畜だ。ど変態だ。そしてそれに惚れ込んでいる自分はど変態の大馬鹿野郎だ。

悪態をついても結局は自分に返ってくるこのループを動けるようになるまで繰り返す。最悪だ。最悪なのに、もう、会いたい。ああ、私なんか死ねば良いのに。

やっと動けるようになったのは14時を少し回った頃、ヨロヨロとベッドから這い出してシャワーを浴びる。

さてどうしたらいいだろう。トレーニングが出来る状態ではない。

少しでも気を紛らわしたくて街へ出た。もちろん護衛は付いているが最近少し慣れてきた。

こうして慣れていければいい、Mr.チャンにも。そんな事を考えていると通りの向こうにロックが見えた。私は手を振りロックに駆け寄る。

「やあ、どうしたんだい?」ロックはいつものように優しく言った。私はまず先日の非礼を詫びた。ロックは笑って気にしてないよと言ってくれた。

「ありがとうロック。本当にごめんなさい。」「もういいさ、あれくらいのことレヴィで慣れっこだよ。」その言葉にほっとしてふたりで少し笑い合う。

「私暇なの。ロックは?何してるの?」「今日は俺も休みでね。とはいえする事もなくて。俺も暇なのさ。」と笑う。

「良かったら一緒に遊びに行かない?ロアナプラってビーチはないの?」「ああ、別に構わないけど、ビーチねぇ、俺も行ったことがないんだけど、あるにはあるらしい。行ってみるかい?」「行きたい!」「じゃあそうしようか。車は…」言いかけてロックは護衛さん達を見た。

私は護衛さんのひとりにロックの車を運転してついてきて欲しい、ロックはMr.チャンの貸してくれている車に一緒に乗せて欲しいと頼んだ。彼らはMr.チャンに連絡をしその了解を取ったようだった。

「あ!その前に!」「どうしたんだい?」「水着!水着買わないと!海に入れないよロック!」私ははしゃいでロックの手を引き近くの服屋に入った。

サイズが合えばなんでもいいと思ったがなんだか際どい水着ばかり並んでいる。その中からなんとか白い紐ビキニを探し出し、これならまあいいかと手に取った。

ロックも同じように無難な物をなんとか探し出して私達はビーチへと向かった。

「こんな海辺の街なのにビーチへは行かないものなのね。地元の人ってそうなのかな?」「多分、それどころじゃない人ばかりの街なんだよ。ここは。」過ぎていく街並みを窓から眺めながらロックは言う。

その横顔を見てMr.チャンの事を思い出す。私はどうしてロックとMr.チャンを重ねてしまうんだろう。全然違う人達なのに、何故か同じ匂いがする。不思議だ。

Mr.チャンに惚れ込んでしまわなければこうやって気軽に楽しく過ごせたのだろうか。考えても意味のない事を考える癖がついてしまった。私は頭をふり窓の外を見た。

「ロック!ビーチ!ビーチが見えてきた!!」「ああ、思ったより良さそうなところだね。」しかし着いてみればあるのは海だけでシャワー設備もなければ着替える場所もない。

「これじゃあ泳げないな。どうする?足だけでも…」「いや!車で着替える!ロックも自分の車で着替えてきて!!」「えええぇ?いやでも、俺はいいけど君は…」この時のロックの言葉を私は最後まで聞くべきだった。

「いーや!ここまで来て泳がないなんて絶対我慢できない!!早く着替えてきてねー!!」私は車に戻って着替えの準備を始めた。

車はもともとスモークガラスだし気にすることはない。護衛さん達は車の外で見張りを続けていた。

「よし!準備はオッケー!」水着に着替えてビーチに飛び出す。すごい!すごい!なんて綺麗な海!!

どうして思い付かなかったんだろう。ここは海辺の街。南国の街。海で遊ぶにはもってこいの場所なのに。

「ちょ、本当に大丈夫なのかい?」着替えを済ませたロックが私を見て言う。「大丈夫ってなにが?すっごく綺麗な海だよ!天気も良いし、最高の海水浴日和よ!」私が笑ってそう言うとロックは「いや、そういうことじゃなくて、だから、その…」と口ごもる。私は準備体操を始めた。

「こらこらこら、人の話は最後まで…」「海ー!!」ロックの話を無視して私は海へ飛び込んだ。最高に気持ちいい。私はロックに手を振り「ロックー!早くおいでよー!!気持ちいいよー!!」と大きな声で言った。

ロックはやれやれといった風に海に入り「あ、確かにこれは…」「ね!気持ちいいでしょ!」「ああ、そうだね。」やっとロックが明るく笑ってくれたので余計に嬉しくなって私はロックと日暮れまで海で遊んだ。

この日の事を、3日後、死ぬほど後悔することになる。

その日のMr.チャンはあからさまに不機嫌だった。

呼ばれてきたはいいがもう小一時間も無言でタバコを吸って酒を飲んでいる。私はガチガチに緊張しながらウイスキーに口をつけてはMr.チャンを盗み見た。

一体どうしたのだろう。何か気に触ることをしてしまったのだろうか。思い当たる節がない。

「あの、Mr.チャン?」なるべく怯えていないよう、始めて取り引きをした時の自分を思い出しながら声をかける。

「なんだ?」Mr.チャンは煙を吐きながら短くそう答えた。「私は何か気に触る事をしてしまったのでしょうか?考えていましたが思い当たりません。教えて頂けますか?」私がそう言うとMr.チャンは深くタバコを吸いため息のように吐き出した。

「君は俺のなんだ?」「私は、Mr.チャン、貴方の女です。」私がそう答えるとMr.チャンは鼻で笑って「そうだ、君は俺のものだ。その意味が君には良くわかっていないようだな。」

Mr.チャンの言うことがよくわからない。なんの話をしているんだろう。

「あの、Mr.…」「もういい。」言葉を遮られビクリと身体が震えた。Mr.チャンはタバコの火を消して私に「俺の前に来て足を開け。」そう言った。

何故こんなに怒っているのか、わからないまま私はMr.チャンの前に立ち、どう足を開けば良いのかと惑った。

「それでいい。そのまま自分で服をまくってみせるんだ。」逆らう事を許さない威圧感を放ちながら彼は言う。私は羞恥心と恐怖に耐えながらスカートをたくし上げて下着を見せた。

「恥ずかしいか?」Mr.チャンはつまらなそうにそう言った。私は、はい、と消え入るような声で答えた。下着のヒモをほどかれ下半身が露わになる。

顔を背け恥ずかしさに耐えた。Mr.チャンの指が太ももを撫で上げ足の間に滑り込む。ちゅぷっと水音がした。まただ。どうして。どうして何もされていないのに、こんなことになっているんだ。

「いやらしい身体だな。いつもこうやって濡れている。なあ、そう思わないか?」いつもより雑にそこを弄びながらMr.チャンは言った。

私はまた消え入るような声で「そう、思い、ます…。」と答えた。「この身体は、誰のものだ?」Mr.チャンはまた同じ様な事を問う。私は、貴方のものです、と答える。

「そうだ。それを他人に見せていいと俺がいつ言った?」そう言いながら乱暴に指を一気に二本根元まで突き入れてきた。

「ひあっ⁉︎あっ…ぁぁっ…。」「へたるな。しっかり立っていろ。俺が良いと言うまでな。」乱暴だが的確に私の弱いところを指の腹でおさえるようにしてぐちゅぐちゅと抜き差しを繰り返す。

私は崩れ落ちそうになるヒザを必死でこらえ、Mr.チャンの許しを待った。もう立っていられない、限界だと思った時、Mr.チャンが指を引き抜き「服を脱げ。」と吐き捨てるように言った。

私は震えるヒザをなんとか保ちながら、言われた通りに服を脱ぐ。キッチリとスーツを着込んだMr.チャンの前で私は裸で立たされていた。「恥ずかしいか?」またMr.チャンはそう聞いた。私は、はい、と答える。

「何故、水着は恥ずかしくはないんだ?」やっと彼が怒っている理由に気が付いた。遅い。察しが致命的に悪過ぎる。

「それは、Mr.、貴方の、前ではなかったから、です。」私は必死にそう答えた。

「俺の前でなければ恥ずかしくはない。そうだろうな。だが、不愉快だ。その身体も君の全ては俺のものだ。わかるか?勝手に他人に見せていいなどと何故思った。」

独占欲をあらわにしMr.チャンは静かに、だが確実な苛立ちを込めてそう言った。私が答える事が出来ずに震えていると「何故そう思ったのか、聞いているんだ。答えたまえ。」彼は苛立ちながらそう言った。

私は回らない頭で「軽率、でした…。」と答えた。Mr.チャンは不機嫌な笑いをもらし、私の手首を乱暴に掴んで後ろ向きにさせるとテーブルに押し付けた。

「軽率、確かにその通りだ。軽率以外の何物でもない。そしてその軽率の理由は君が自分の立場を理解していないせいでしでかした事だ。違うか?」そう言いながらMr.チャンは私の両手首を縛り「少し思い知らせる必要があるようだな。まあ、有り体言えば、お仕置きだ。」そう言って私のお尻をバチンと大きな音を立てて叩いた。

「いっあっあぁっ!!」私は情けなく声を上げる。Mr.チャンはきつく縛った両手の肘を掴み強引に挿入してきた。

そして乱暴に腰を打ち付けながら何度も何度も私のお尻を叩きながら後ろから激しく乱暴に突き続けた。私は痛みと恐怖と快楽と後悔がないまぜになり泣き叫びながら許しを乞うた。

だが当然それらが聞き入れられることはなかった。拘束された腕を掴み乱暴に突き立て続けるMr.チャンは少しだけ楽しそうな声で言った。

「これはお仕置きだ。悪い子にはお仕置きが必要だからな。」そう言ってまたお尻を強く引っ叩いた。

「俺に独占欲がないと何故思った?」また強くお尻を平手打ちされる。「いいか?忘れるな。君は俺だけのものだ。それから以前の車内での話だが、もしも君が本当に死にたくなったなら、他の誰にもやらせはしない。俺がこの手で君の息の根を止めてやろう。いいか?君は死ぬその瞬間まで俺の手の内にある。それをよく理解する事だな。」そう言って激しく乱暴に突き入れ続ける。

私はいつもより痛みと恐怖の悲鳴をあげてそれでも、快楽を感じていた。この男の非道な行為と独占欲が、怖くてたまらないのに、どうしようもなく嬉しかった。私は狂ってしまった。この男に。

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