短い夢。

□キリリク!マファアの女。
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リクエスト、マファアの女。
激甘裏。B

黙って俺の言う事を聞いて、休まるはずのない身体を休めようと快楽をこらえている。

こういう健気なところがまたたまらん。

彼女が気付いているかはわからんが中が動いて休めていない事を教えてくれている。このまましばらくそれらを楽しんでいた方がいいのか、続きを始めちまった方がいいのか。

彼女としてはどちらがマシだろうか?とそんな事を考えてはまた笑っちまう。

どっちも彼女にしてみれば追い詰められるのは同じ事だ。それをいまさら。やめる気もないくせにどちらがマシだろうかなんぞと考えるのは全く馬鹿馬鹿しい。

「Mr.?どうかしましたか…?」

自嘲気味に笑ったのを気にかけて彼女は心配そうな声で問う。君は俺の心配ばかりしているな。酷い事ばかりしちまう俺を、どうしてそんなに想ってくれるんだ。

「いや、あまりの身勝手さにほとほと愛想が尽きてね。気遣うフリまでしている自分が嫌になる。」

そう言ってMr.チャンは少し遠い目をして私を見た。その目は嫌。悲しい色をしているから。

私は彼に向かって両手を伸ばす。頬を包み込んで悲しい色をした目を見つめた。

「身勝手でも、気遣いたいと思って下さるのは、きっと本心です。フリだなんて決め付けないで下さい。Mr.は少し自分が悪人である事にこだわりすぎています。悪党にも優しくしたい時があったっていいじゃありませんか。私は嬉しいですよ?悪党の貴方が優しくしたいと思って下さる事が、とても、嬉しいんです。」

Mr.チャンの瞳の色が変わる。そう、あんな淡い色より、この目が似合う。悲しい色は今はいらないはずだから。

「そうか。こだわりなんぞ無縁と思っていたんだがな。なるほど、こだわっちまってたか。そうか。」

クックックと肩を揺らしてMr.チャンは笑った。悪ガキの笑顔。可愛いくて格好良い、大好きな表情。

そうやって笑っていて欲しい。楽しそうに笑っていて欲しい。悲しい夜も傍に居たい。でも悲しみも寂しさも、必要のない時に引き寄せないで。

「やれやれ、君といると調子が狂うな。情け無い限りだ。」

「調子が狂うのも情け無いのも、私を想って下さるからでしょう?幸せです私。本当に、幸せです。」

偽りのない笑顔を見せて彼女はそう言った。敵わんなぁ。降参だよ。君には勝てん。負けても心地良い。そもそも勝ち負けなんぞ考えるのが間違っているんだろうな。まったく。

「君が幸せだと言ってくれるならそれを信じられる。君が好きだ。幸せでいて欲しい。幸せにしてやりたい。まあまた泣かせちまうんだがなぁ。」

そう言いながらキスをすると彼女は嬉しそうにはにかんで、それからビクリと身構えた。

「お、お手柔らかに、お願いします…」

言うだけ無駄な可能性は高いのだが一応希望は伝えておきたい。言った私を見下ろしてMr.チャンはクツクツと笑った。

「なるべくそう出来るよう心掛けよう。今夜は、な。」

ゆっくりと彼女を抱き起こし自分の上に乗せて腰を掴んで揺らした。

「あ…っ!んんぅ…ふぁ…っ!Mr.っ…ぁっんあっあぁっ!」

優しくしてやりたい。激しく責め立て追い詰めたい。どちらも本心だ。誤魔化しようがねぇ。

君を抱きながら満たされてはまた渇く。何度も何度も繰り返す俺を彼女は意識を失うまで満たし続けてくれた。

「君が、好きだ。」

ただそれだけでこんなにも世界は色を変える。彼女の涙をぬぐって腕の中におさめると柔らかく睡魔に誘われた。こんなに穏やかに眠れる様になったのも、君と出会ってからなんだと、目が覚めたら君に伝えよう。
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