ONEPIECE短編

□少しだけ甘えさせて
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たまにあるんだ。母親に甘えたくなる衝動



コンコンコン



『エース?』

「ああ」



甘えたくなったときは必ず名無しさんさんの部屋にいく

名無しさんさんは俺より先に白ひげ海賊団に入った女戦闘員

俺と年はおなじなのにすげぇ大人だ

雨と無知の使い方をわかってて優しくもあり厳しくもある人

今までに何回か甘えたくなったときがあるけど

夜遅くてもいつも部屋に入れてくれる



『また寂しくなったのね』

「申し訳ない」

『ううん。母親に甘えたことがないから仕方ないわ。
私だって誰かに甘えたくなることあるもの』



名無しさんさんは生まれたときから父親がいない

だから親父(白ひげ)に甘えたくなるときがあると前に教えてくれた

だからエースが誰か女性に甘えたくなるのわかると言ってくれた

その誰かが私であることには驚いた、ナースのこのほうがいいんじゃない?

って言われたこともある。

ナースたちもいいとは思うが母親というよりは姉の感じだから違うんだよな



『おいでエース』

「ん」



少しだけ大きめのシングルベッドの端にいると両手を広げて

おいで、と言ってくれる名無しさんさんが好きだ

それ以外にも好きなところはあるけど、こう言われると

さらに母親のような雰囲気が出てくる

これだから甘えたくなるんだよな



『くすぐったい』

「我慢してくれよ」



名無しさんさんの首筋に顔を埋める

母さんもこんなに柔らかいもんだったのだろうか

温かいもんなんだろうか。こんな風に抱き締めてくれるんだろうか



『エースは相変わらず暖かいわね』

「そりゃ火だからな」

『それもそうね。お陰ですぐに寝れそう』

「もう寝るのか」

『元々寝てる最中だったのよ?』



エースも寝な、と頭を撫でてくれる

俺はそれを拒むように名無しさんさんを抱き締める



『まだ寝たくないの?』

「起きたら名無しさんさんが消えてそうなんだよ」

『なるほどね。大丈夫、どこにもいかない』

「本当か?」

『本当よ』

「嘘じゃねぇんだな?」

『嘘じゃない。だから安心しておやすみエース』



そう言われてからの記憶はない


安心してと言う言葉に文字通り安心して寝たんだ


夜遅くにごめんなさい名無しさんさん


でも少しだけ甘えさせて


Fin

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