ONEPIECE短編

□弱いところ
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寂しい。寂しい。

人を信用しない私。特に男は信じられない

何度も何度も裏切られてきた

最初は父に。それから付き合う男すべてに裏切られた

ただフラれるんじゃなくてどいつもこいつも

関係を持ちたがるだけの男だらけだった

だから裏切られたという

男を見る目がない。とことん男運がない

いい人でも全男が悪い男に見えるようになった

周りの人からは男がみんな悪い男とは限らない

と言われたが酷い経験しかしてこなかったんだ

すべての男が悪く見えても仕方ないと思う

信じたくても信じられない

そんな私が麦わらの一味に入らされた



「へのへの」

『ゾロさん』



麦わらの一味のNo.2の剣士

この男が私を一味に入れた本人

私にやたらと声をかけてくる



「ルフィが呼んでるぞ」

『ありがとうございます』



少しの油断も見せてはならない

そう私の心が叫んでいる



「筋トレするか」

『いや、いいです』

「そうか。じゃまた今度付き合ってくれ」



無理に付きまとったりすることのない男

普段は昼間から酒か寝るか筋トレするか

それがなければ私のところに来る

なぜ私に構うのか。何を思って私のところに来る

もうやめてほしいんだけどな

優しく近づいてくるや、やたらと話しかけてくる男なんてみんな獣だ

そう私は昔から思っている



「へのへの」

『またですか』



今日もまた来る

飽きもせずによく来るもんだ



「酒、飲まねえか。いや、飲むぞ」



ドンッと樽をおいた

そしてグラスを差し出した



「男が怖ぇか」

『はい』

「いつまで敬語なんだよ」

『……ごめん』



なぜここまで私に構うのかな

これ以上私を苦しませないでほしい

そう思っても男だらけのこの一味では難しい

しかしそれ以上は何も言わずにただ酒を飲んだ

樽もあくかというくらいになって酔いがまわってきた



『本当は…』

「あ?」

『寂しい』



ぽつぽつと言葉が溢れてくる



『私は父から捨てられた。それから母が一人で
育ててくれた。だから母の愛しかしらない。
男の人の愛ってどんなんだろうと思って色んな人と付き合った。
でも男運に恵まれてないらしい。うまくいかなかった』



だからどの男にも心許せない、怖くてたまらない

そう言ってまた飲んだ。男に対する恐怖。



『色んな男と付き合うなんて、酷い女だよね。
でももうだれとも付き合わない。麦わらの一味のために死ぬ』



そう決めたんだって笑って見せた

酒で体が熱い。さすがに飲みすぎたか

芝生に寝そべって夜空を見る

酷く星がきれいな日だ

目が閉じそうになる

するとふっと影が射した。ゾロだ



「そんなに男が信じられねえか」

『うん。』



寝そべっていた体制を起こし座った



『でもこの船の男たちは信じられる。
みんなまっすぐな目をしている』

「そうか」



しばらく見つめられる

なんだろう、むず痒い



『ん……』



優しい口づけ。強引じゃない遠慮がちなもの

その唇が少し震えていた

壊さないように優しく。

嗚呼、もっと早く出逢えてたら私の人生かわってたかもしれない。



「泣きたいときは泣け。」

『……え』

「泣いてるぞ」



気付けば涙を流していたらしい

こんな優しい口づけされたことない



『ふ…………ふぇ』

「全部吐き出しちまえ」

『ぅ……ほ、本当は……嫌…だっ…た…』

「嫌?」

『自分でもやめなきゃって思ってた。
色んな男と付き合うなんて酷い。
でも本当の愛が知りたかった!でもどれも嘘だった』



今まで誰にも言わなかった話

心の中では吐き出したい思いで一杯だった

でも男に身を売りまくったような女なんて

誰もいい印象は受けないだろう。

だから誰にも話してこなかった



「俺なら名無しさんを幸せにできる」

『ゾロ?』



優しく抱き締めてくれる

頭を撫でてくれる

優しい手つき



「俺はコックみたいに女のことがわかる訳じゃねえけど
名無しさんはほっとけねえ。俺が幸せにしてやる」

『…ぞ…ぞろぉ……』

「お前を見たときから危ないと思った。海に連れ出したら
俺だけの女にできると思った。あんな男どもの
側においておいていいわけねえ。あのままだと
もっと辛い闇にのまれるとおもった」

『ぅ……うん』

「お前は外は強い。でも中は弱い。そんな弱いところを俺が守る。いや、







お前の弱いところを守らせてくれ




Fin
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