短い日常2
□笑顔を作りたい
1ページ/2ページ
今日は各界の著名人を集めたパーティーが開催され、そこにIDOLISH7とTRIGGERとRe:valeが招待されている。
ただのパーティーじゃないのはいつもどこでもそうなのだけれど……
『あの……姉鷺さん』
「あら、なーに?」
『なぜ私だけこのような…』
このようなというのは服のこと。
姉鷺はんは普段着をよりおしゃれに、パーティー向けにしたって感じなのに…
「素敵よ〜!よく似合ってる!」
『こんなに背中空いてるなんて…』
そう。私はオープンバックドレスを着ている。
いや、正式には着させられてるのが正解かも。
「あなたはマネージャーなのよ!ご挨拶して回るのに普段のアレじゃダメでしょ!」
私はあまりおしゃれが得意ではない。
人一倍気を使うほどでもないが、ほどほどと言った感じ。
だから、今日は姉鷺さんの選んだドレスを着て出席。
せっかく来ている大物女優さん達より目立っているような……
「あんたは背も高いし肌が綺麗で足長いからその服装がよく映えるわ!」
『あ、ありがとうございます…』
「あ、ほら!Dライブネットの副社長がいるわ!挨拶いくわよ!」
『はい!』
慣れない服装にもたつきながらも、お世話になっている方々に挨拶回り。
至るところで綺麗だと言われたが普段の私とは全くの別人だ。
「なあなあ、あれ相田さんだよな?」
「どれどれ?うわ!ホントだ!」
「OH…凄く綺麗です」
「ホントだ…相田さん、普段ああいった格好や派手なものは着ませんし身に付けませんからね」
「足長いな〜」
「髪もいつもよりもアップしてる」
「あれじゃ会場の男たちの目も釘付けになるわな」
こんな会話をされているのなんて露知らず。
挨拶回りでバタバタして少し疲れてしまった。
「大丈夫ですか?」
『ありがとうございます。あなたは?』
「僕はあけぼのテレビの田崎といいます」
『私は八乙女事務所、TRIGGERのマネージャーの相田あかりともうします。』
「TRIGGERさんの……こんなに美人のマネージャーさんがいるなんて幸せですね」
『とんでもないです』
こういうパーティーは少しギスギスした感じもあってあまり得意ではない。
でもこんな風に気さくなかたがいらっしゃると少し安心する。
「相田さん」
『あ、八乙女さん』
「ちょっといいか」
『はい。では田崎さん失礼致します』
「またあとで」
田崎と少し話し込んでいると八乙女楽さんが向こうからやって来た。
心なしか機嫌が悪いような感じがする。
「さっきのは」
『あけぼのテレビの田崎さんです』
「なに話してた」
そして、これ、と渡してくれたのはジュース。
成人しているがお酒は苦手な私のためにとってきてくれたらしい。
口紅が崩れないようにストローが刺さっている。
こういうちょっとしたところがモテの要素のひとつなんだろう。
『今後のテレビ出演の件で』
「へー」
『なにか?』
「いや」
「あら、八乙女さん?」
「ああ、三好さん。お久しぶりです」
「お久しぶり。その綺麗な方は?好い人?」
「…そんなんじゃありませんよ」
『TRIGGERマネージャーの相田あかりともうします。』
「私は言わなくてもわかるわよね」
『女優の三好優さん』
「ええ。こんな綺麗な方に名前を覚えていただけてるなんて嬉しいわ。ねえ、あなた…」
『?』
たまにある。八乙女さんに好意を寄せる女性が、私が気に入らないといってやじってくる。
もう慣れたもんですけど、この人は裏表がありそうな人であまり好ましくない。