R12→R18 km
□夜の濃淡に沈む (1)+
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今日は朝からちょっと憂鬱だな。
この前の数学の小テストが返ってくる。
……ただただ空欄を埋めたってだけで、何一つ合っている気がしない。
「梅原。あなたは一体、私の授業の何を聞いていたのですか。
これでは、これからの期末試験も悲惨なものになるでしょう。
いつもの事ですが今日の放課後、小テストの補習を行います。
数学準備室に来なさい。」
あぁ、やっぱり。
普段から怖い真山先生の顔が3割増しで怖い。
数学の補習はいつもの事だけど……。
でも、補習が二人だけの時は、普段みんなの前で見せないような優しい笑顔をする事があるんだよな。
意地悪な事を言ってきたり、からかわれたもするけれど。
本当は優しい先生なんだよね。
みんなは怖くて嫌だというけれど、
私は真山先生の事があんまり嫌じゃないのは、その笑顔を知っているからなのかな。