R12→R18 km
□花環を食い散らかしてみたいんだ(3)
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まだ余韻に浸って微睡んでいる朱里を抱き寄せる。
今まで緩んでいた身体が、俺が触れると同時に不安気に硬く強張っていく。
そして俺の胸に顔を埋める。
「…どうした?」
まだ熱の残っている身体を腕の中に包み込み、髪の毛を優しく撫でながら、不安の原因が何なのか解っていたが、敢えて聞いてみた。
「先生…。ありがとう…ござい…ました。
最後のわがままを聞いてくれて…。
あの、先生の匂いを…覚えていたくて…。」
涙声でそう告げ、俺の背中に回した手に力を込める。
「何を言っている。俺の匂いならいつでも嗅がせてやる。
おまえだけにな。」
俺は口の端を上げてニヤリと笑う。
「ひゃ?!」
朱里はまた素っ頓狂な声を出し、濡れたその瞳を見開いて驚きと共に俺を見る。
そして自分でも驚くくらい甘い声で囁く。
「本当に色気のない声を出すな。
まぁ、ポリシーに反するが、前言撤回だ。
一度は手放そうかと思ったが、こうなっては、な。
そして、ようやく手に入れたものをそう簡単に手放す訳がないだろう、この俺が。
色々と覚悟しておけよ。」
(触れ合えば離せなくなる事は解っていた。
覚悟するのは俺の方だな。)
先生…!と飛び付かんばかりに
抱き付いてくる。
そのまま朱里を組み敷く。
歓喜の涙が伝うその顔中に口付けの雨を降らす。
「もう一度おまえの身体を堪能してから、如月との事を詰問してやろう。」
や、あれは、と何か言いかけたところで口唇で軽く口封じをする。
そして朱里の顔を真正面に見つめ、
「解っている。おまえは浮気出来るほど器用な頭の構造をしてはいないだろうからな。
…だが、この俺を嫉妬させて狼狽させた罪は償ってもらうからな。」
と余裕の笑みを浮かべる。
「ちょ…先生、それ、ひどいです!」
拗ねた朱里の悪態ごと飲み込むように深い口付けを与えた。
ーFinー