北条高時腹切りやぐら
□後日談
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「…で?」
あゆみが、興味津々に身をのり出してきた。
皆、一様に押し黙っていた。研修旅行での研修終了後、毎年必ず行われる納涼会、いわば百物語である。
一区切りついたところで、彼女が言葉をはさんできたのだ。
ある日、足をどうかしたのか?と尋ねてきたKさんに、私はキョトンとなった。
…私は、続けた。
何の事か解らずにいると、足首近くに、大きな痣ができていると言う。
確かに、足首周辺が斑(ぶち)ている。どこかにぶつけたわけでもないのに、できた痣…。しかもそれは、両脚の全く同じ箇所に拳ほどの大きさで、対称的に浮き出ていた。
“やだ、何これ…。”
私は、思った。知らないうちに、ぶつけたのだろうか?
が、どう考えても記憶がない。不審に思える痣を、なるべく気にしないようにしながら、帰宅の途につくため私達は、図書館をあとにした。
階段を昇れば、2階は学生課、さらに出入口へと続いている。