北条高時腹切りやぐら

□後日談
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玄関近くの鏡の前まで来た時、私の足首近くを見ていた彼女が、急に、さっきの痣を、もう一度見せてもらえないかと、言い出した。

痣は、足首前方上部に横向きに1ヶ所。足首の外側面には、5センチメートルほどの大きさで広がっていた。

さらに後方はと言えば、今度は痣がまるで縞模様のように、4本の線が真横に走っていた。

その、判を押したような対称的な痣は、私に、言い様のない嫌悪感を抱かせた。


“うわ、気持ち悪…っ”


記憶に、これと結び付くような出来事は、何も浮かばなかった。

彼女が何かに気づいた のは、その時だったように思う。


“これ…手の…。”


言わんとした内容にギョッとし、彼女は口を噤(つぐ)んだ。

たしかにそれは、足首をむんずと掴んだ人間の手の痕だった。
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