08/19の日記

19:10
喧嘩するバンとトーマ、と保護者(ZOIDS)
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廊下の先から聞こえる聞き覚えのある怒鳴り声に、ムンベイは思わず溜め息を吐いた。


「バン!きっさまぁ〜!!」
「うるっせぇな!耳元でデケェ声出すんじゃねー!!」

食堂のど真ん中、掴み掛からんばかりの剣幕で言い合うバンとトーマの姿に、ムンベイはやれやれと肩を竦めた。普段ならもう少し賑わっていてもおかしくない時間帯であるのだが、触らぬ神に祟りなしとでも言わんばかりに見事に閑散としていた。
そんな中、二人から少々離れた席で悠々と食事を取る少女とその傍らで大人しく座る白いオーガノイドを見つけ、ムンベイはそちらへ歩み寄る。
声を掛けるまでもなくフィーネは彼女に気付き、笑顔で片手を上げた。

「あーあー、全く今日も元気だこと。で、何を騒いでんの、あの阿呆どもは?」

フォークでサラダをつつくフィーネの向かい側に座り、ムンベイは片肘をテーブルについて手の甲に顎を乗せた。喚き続ける男二人を横目に揉めている原因を尋ねると、フィーネはテーブルに乗っている二つの紙の束を示した。

「バンがトーマさんの報告書を間違って持って行ったの。すぐに気付いて返しに来たんだけど、その時にはトーマさんは慌てて書類を探し回ってて、入れ違いになっちゃって」
「ぎゅるる」
「お互いに散々探し回って、さっきようやくここで合流できたのよ」
「へぇー、相変わらずドジね」

淡々と答えるフィーネに、呆れしか含まない口調でムンベイは感想を述べる。どちらが、とは言わない。敢えて付け加えるなら両方である。
珍しくバンとトーマは二人で報告書作成に臨んだという。元々デスクワークが苦手で報告書の作成も遅れがちなバンを見かねて、トーマが声を掛けたのだそうだ。おかげで期限内に書類は出来上がり、バンが意気揚々と提出に向かったところでこうなった、と。
バンが一言詫びれば済む話のように思えたが、そこは二人の性格故か余計な一言や二言を口にした結果お互いにキレたのだろう。その辺はいつものパターンだ。
視線をずらすと、ジークが心配そうに喉を鳴らして二人を見守っていた。この子の方がよっぽど大人だ、とムンベイは苦笑した。

「大体、どぉーしてそこで俺のも持って行くんだ!?ええ?提出前にきちんと確認もしないのか貴様は!!」
「それくらいするっての!だから途中で気付いて持ってきたんじゃねーか!!」
「だぁから何故席を立つ前にそれをしなかったのかと聞いているんだ!!おかげで基地内を走り回る羽目になったんだぞ!!」
「しつけーな!走り回ったのは俺もだ!お前こそ、あっちこっちに散らばしてるから俺のと混ざるんだろ!こっちだっていい迷惑だぜ!」
「っ、なんだそのふてぶてしい態度はぁ!?」

ついにトーマがバンの胸倉を掴んだところで、小気味いい音と共に二人の後頭部に強かな衝撃が走った。更に反動で互いの額を思い切りぶつけ合い、二人は痛みに悶えながら己の額を押さえる。
ムンベイは二人を引っ叩いた両手を軽く振った後に己の腰に添えて自分よりも高い位置にある二つの顔を睨み上げた。

「いい加減にしなさいあんたたち!こんなとこでぎゃーぎゃー喚かれたら落ち着いて食事も出来やしないよ!喧嘩なら他所でやんな!」
「ってぇ〜…」
「うう、何で俺まで…」
「二人とも、報告書出しに行かなくていいの?」
「「あ」」

フィーネの冷静な一言にようやく我に返った二人は、慌てて時計を見る。報告書の提出期限は本日正午。既に30分オーバーだった。
バンは冷や汗を掻き、トーマは青くなり、二人してつんのめりそうになりながらテーブルの上の書類を引っ掴む。

「い、行ってくる!」
「ご指摘有り難うございますフィーネさん!!」
「行ってらっしゃーい」

あっという間に走り去る二人をひらひらと片手を振って見送り、フィーネは椅子に座り直した。ムンベイは苦笑しながら自分の分のコーヒーを淹れているところだった。

「っとに。いつまで経ってもお子様なんだから」

席に着き、やれやれと大袈裟な仕草で肩を竦める。

「そう言うムンベイはお母さんみたい」
「どういう意味だい、そりゃ」

あんなデカイ息子はいらないとばかりに渋面を作るムンベイににっこりと笑い掛け、フィーネは食後のコーヒーを口にした。








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ムンベイはかっこいいと思うのです。あんなお姉さん欲しかった。
GF編の衣装のお姉さん感がすごく好きです。

あと、喧嘩するトーマとバンは二人ともぐりぐりしたいです可愛い。

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