08/17の日記

20:32
弟の憂鬱 (ZOIDS/多分カルトマ)
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『断る』

涼やかな声で一刀両断され、トーマは何度目かの溜め息を吐く。モニターの向こうの兄の顔は、これ以上無いというほど不機嫌に歪んでいた。

帝都での任務を終え、現在は同じくG.Fであるバン達と合流すべく移動中のトーマは、報告がてら兄へと連絡を入れた。立場上直接会う機会の少ない兄との連絡はもっぱら軍用回線を使っているのだが、ビークを通じて専用チャンネルを確保しているためすぐさま繋がる。当初は職権乱用だと渋い顔をしていたカールも、最近は何も言わなくなった。
本来ならば他愛の無い話に花を咲かせたいところだったのだが、今回はそうもいかない。
帝都ガイガロスには帝国随一の名門、シュバルツ家本家の屋敷…すなわち彼ら兄弟の実家がある。任務のついでにと久方振りに帰省した際、トーマは母に泣き付かれた。
暫く顔を見せていなかったため心配させたかと狼狽したが、違った。そして、トーマが今回カールへとコンタクトを取った理由もそこにあるのだった。

「兄さん…我儘を言わないで下さい」
『何が我儘なものか。とにかく、何度来ようが返答は変わらん。母上にもそう伝えておけ!』

言うなり通信を切断される。この分だと、もう通信に応じてはもらえないだろう。
頑なに拒否する兄の気持ちもわからなくはないのだが、今回は事情が事情だ。何より、母からの圧力を受ける自分の身にもなって欲しい。

「…仕方ない。ビーク、行くぞ」

相棒に声を掛ければ軽やかな電子音で答えが返ってくる。その響きに少し慰められて、トーマは愛機の進路を変更した。
その膝の上に、母から託されたお見合い写真を乗せて。




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続く。まあここでやめても支障ないレベルなんだけども…

最近数年ぶりのゾイドブーム到来。シュバルツ兄弟が可愛くて可愛くて仕方ないです。
リアルタイムで見ていた時はトーマがあまり好きではなかったんですが、歳取るとわかりますね。なんて可愛い子なんだ。

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