07/18の日記

22:33
それは腹時計よりも正確な (KN/アド+キー)
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『アドニス』

名前を呼ばれて目を覚ました。
僕はベッドの中、枕に顔を埋めたままそれを聞く。反応を示さなければ、繰り返し名前は呼ばれるのだ。
毎日、同じ時間にその声は降ってくる。
鼓膜を震わせるわけでもなく、心に直接響いてくるようなその声に、意識は次第にはっきりしていく。

『アドニス、朝だ。起きろ』

声は、焦れたように語気を強める。
ああ、そういえば、目覚めに聞くのは人の声が一番心地好いとどこかで聞いた気がする。疑っていたけど、それは本当だったらしい。微睡みの中でぼんやりと考える。
まあ、これは正確には“人の声”ではないのだけれど。

『アードーニース!相変わらず寝汚いな貴様は!さっさと起きんかッ!』

心地好いはずだった声は、いつの間にか騒音へ。
相変わらず空気の読めない脳内音声に溜め息が漏れるのを抑えられず、僕はのろのろと寝返りを打ち瞼を持ち上げる。
見慣れない天井をぼんやりと見上げる。窓から差し込む朝日が眩しくて、もう一度落ちそうになる瞼をなんとか押さえ込んで身を起こす。
ようやく起き上がった僕に満足したのか、キーファはフン、と偉そうに鼻を鳴らした。

『全く、毎朝毎朝手間を掛けおってからに。大体貴様、そんなんで今までどうやって一人で起き…』
「おはようキーファ」
『…おはよう』

笑顔で告げると、キーファは途端に大人しくなる。これもいつものことだけど、キーファのスイッチはわからない。
まあいいや。代わり映えのしない小言は全力でスルーするに限る。
両腕を思いっきり伸ばして、深く息を吸い込む。外はいい天気だ。

今日も一日頑張ろう。






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旅の途中っぽい感じで。
キーファさんって時間に厳しそう。

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