07/02の日記

23:30
悪戯 (KN/キーアド)
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目が覚めると、視界に広がる紫色。

「ん…」

思わず手を伸ばそうとして、止める。引っ張ったら起こしてしまうだろう。
眠るときに髪の毛を纏めておくアドニスと違い、キーファはバサバサとベッドに振り乱して眠りに就く。アドニスよりも髪の毛が長いくせに、だ。
一緒に眠ると、シーツと一緒に引っ張ってしまったり寝返りを打った拍子にアドニスの顔にかかったりと邪魔くさいことこの上ない。
ただ、アドニスはこの髪の毛を存外に気に入っていたので、こうして目覚めに白いシーツに広がる紫を目にするのはなかなか気分の良いものであった。

僅かに身を起こしたアドニスは、起こさないようにそーっと、キーファの顔を覗き込む。相変わらず血色のよろしくない肌だ。ついでに言うならこの男は上半身裸で眠る。冬でも風邪を引かないあたり、健康そのものだ。
ふと、アドニスは手元に散らばる紫を指で掬い上げた。柔らかなそれと、のん気に眠る男の横顔を交互に眺め、アドニスは口の端を上げた。







「アードーニースー!?」
「痛い痛い」

目が覚めて状況を把握した途端、案の定怒り出したキーファは、アドニスの頬を掴んで思い切り引っ張った。
普段なら怒りに任せて振り乱す無駄に長い髪は二つに分けられ、見事な三つ編みにされてシーツの上に垂れていた。その出来栄えに目を細めつつ、寝ている相手を起こさぬように髪を結うのは中々難しいもんだな、とアドニスはしみじみ思った。

「手が滑った」
「ほほう、一体どういった滑り方をしたらこんな器用に三つ編みが出来るんですかねぇー!?ったく、朝っぱらからよく分からん嫌がらせを…!」
「キーファ、キーファ」
「あん?」

頬から手を離すと早々に三つ編みを解こうとするキーファを制止するように、アドニスが腕を引く。
訝しげな視線を向けるキーファにくるりと背を向ける。いつものように一本でまとめられた白い髪を指差して、アドニスは微笑んだ。
普段よりも少し低めの位置で結われたそれは、三つ編み。

「おそろい」
「…ばっっかじゃねーの!?」

乱暴に髪を解きながら放たれる怒声から逃れるように、アドニスはそそくさとベッドを下りる。
さり気無く窺えば、先程まで血色の悪かった頬はほんの少し朱に染まっていて、気付いているのかいないのか、キーファは背を向けて着替えを始めた。
その満更でもなさそうな様子に、アドニスは満足そうに笑みを浮かべるのだった。






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先日、かぐ様とのチャットで飛び出した『キーファより先に起きちゃったアドニスが暇潰しにキーファを三つ編みの刑に』…です。お許しが出たので書いちゃいましたとも。
もう設定だけでニヤニヤが止まらないので、文章はおまけ程度で読んでください。三つ編みキーファ、この事実が重要。
ああもう、キーアド萌え。

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